
栃木県で民泊新法(住宅宿泊事業)の届出をする先は、物件の所在地を管轄する県の健康福祉センターです(宇都宮市内は県庁の医薬・生活衛生課)。県には営業を制限する条例はありません。届出住宅の半数は那須町にあり、那須町では2026年10月から民泊の宿泊者にも宿泊税がかかります。この記事では、届出の窓口、市町別の届出件数、那須町の宿泊税、届出の流れをまとめています。
結論:届出は地域の健康福祉センター、条例による制限はない
| 届出先 | 所管する市町と届出件数 |
| 県 保健福祉部 医薬・生活衛生課(県庁) | 宇都宮市 15件 |
| 県西健康福祉センター 生活衛生課 | 鹿沼市 2件 |
| 県東健康福祉センター 生活衛生課 | 真岡市 33件、益子町 4件、茂木町 2件、市貝町 1件、芳賀町 1件 |
| 県南健康福祉センター 生活衛生課 | 小山市 13件、下野市 1件、上三川町 1件、野木町 3件 |
| 県北健康福祉センター 生活衛生課 | 大田原市 4件、那須塩原市 35件、那須町 254件、矢板市 3件、さくら市 3件、塩谷町 2件、高根沢町 1件、那須烏山市 2件、那珂川町 3件 |
| 安足健康福祉センター 生活衛生課 | 足利市 8件、佐野市 19件 |
| 今市健康福祉センター 保健衛生課 | 日光市 77件 |
| 栃木健康福祉センター 保健衛生課 | 栃木市 11件、壬生町 3件 |
相談や届出で窓口に行くときは、事前に電話するよう県が案内しています。届出は原則として民泊制度運営システムで行い、システムが使えない場合は書類でも受け付けます。届出の際は、「栃木県における住宅宿泊事業の届出に関する個人情報等の取扱いについて」への同意が必要です(栃木県「住宅宿泊事業法について」)。
宇都宮市は保健所を置く市ですが、民泊新法の届出は県が受け付けています。一方、民泊で食事を出す場合の営業許可や温泉の利用許可は、宇都宮市内では宇都宮市保健所、ほかの市町では管轄の健康福祉センターが窓口です(栃木県「関係他法令一覧(別表3)」)。
条例による制限がないことと、確認しておくこと
住宅宿泊事業法 第18条では、都道府県などが条例で区域を定めて、営業できる期間を制限できます(住宅宿泊事業法)。観光庁の自治体一覧で、栃木県は条例を定めた自治体として示されていません(観光庁「各自治体の情報・窓口案内(条例等の状況等)」)。県内では、法律の上限の年180日まで営業できます。
ただし、条例がなくても、物件ごとに次の点は確認が必要です(県の別表3から)。
| 確認すること | 窓口 |
| 消防法令適合通知書、防火対象物使用開始届など | 管轄の消防本部 |
| ごみの処理(事業系一般廃棄物か産業廃棄物になる) | 事業系一般廃棄物は市町の廃棄物担当課、産業廃棄物は管轄の県環境森林(管理)事務所 |
| 下水道法の届出 | 市町 |
| 都市計画法(開発許可関係の規制) | 管轄の県都市政策課か市役所 |
| 建築基準法 | 管轄の県建築指導課か市役所 |
| 宿泊者に飲食物を出す場合(有償・無償を問わない) | 管轄の健康福祉センターか宇都宮市保健所(食品衛生法の営業許可) |
| 温泉を使う場合 | 管轄の健康福祉センターか宇都宮市保健所(温泉法の利用許可)。入湯税の対象にもなる |
2026年7月15日には、観光庁などが自治体に「ゼロ日規制等について」を通知し、条例で新たな民泊を禁止したり、営業日を限ったりできることを示しました(観光庁の報道発表)。2026年10月時点で、栃木県が条例を検討しているという公表は確認できませんが、届出の前に窓口で最新の状況を確認しておきます。
市町別の届出件数
県が公表している届出住宅の一覧(2026年7月31日現在)を市町ごとに数えると、県内の届出住宅は501件で、25市町すべてに届出があります。そのうち那須町が254件で約半数を占め、日光市77件、那須塩原市35件と続きます。市町ごとの件数は、前の「結論」の表のとおりです。
那須高原と日光という観光地に集中している一方、宇都宮市や小山市などの都市部は少数です。件数は届出の数で、実際に稼働しているかどうかは表しません。観光庁が公表している栃木県の届出住宅数は510件(2026年9月15日時点)で、県の一覧とは時点が違うため一致しません(観光庁「届出及び登録の状況一覧」)。
観光庁の集計では、2026年6〜7月の栃木県の届出住宅1件あたりの宿泊日数は11.8日で、全国の15.4日を下回ります(観光庁「住宅宿泊事業の宿泊実績について」)。夏休みを含む2か月の数字なので、年間の稼働はさらに控えめに置いて試算します。
那須町の宿泊税(2026年10月から)
那須町は、2026年10月1日から宿泊税を課税しています。旅館業の許可を受けたホテル・旅館・簡易宿所だけでなく、住宅宿泊事業の届出をした住宅(民泊)の宿泊者も対象です(那須町「宿泊税の導入について」)。
| 1人1泊の宿泊料金(食事代・消費税を除く) | 税額 |
| 1万円未満 | 100円 |
| 1万円以上2万円未満 | 300円 |
| 2万円以上3万円未満 | 500円 |
| 3万円以上5万円未満 | 800円 |
| 5万円以上10万円未満 | 1,500円 |
| 10万円以上 | 3,000円 |
- 12歳未満の人と、修学旅行(大学を除く)の生徒・引率者には課税しない(学校の証明が必要)
- 町内で民泊を営む事業者は、宿泊税の特別徴収義務者として町に届け出る
- 毎月1日から末日までの分を、翌月末日までに申告・納入する。宿泊者がいなかった月も申告書を出す
- 制度開始から5か月分(2026年10月分〜2027年2月分)は、承認を受ければ2027年3月31日までにまとめて申告・納入できる特例がある
宿泊税は、事業者が宿泊者から預かって納める税です。予約サイトでの料金の表示や、宿泊者からの受け取り方を、開業前に決めておきます。税額は1人1泊ごとなので、一棟貸しでも人数分がかかります。具体的な扱いは那須町の税務課に確認し、事業全体の税務の判断は税理士に相談してください。
日光市には宿泊税はありませんが、温泉を使う民泊では入湯税がかかります。日光市の入湯税は、宿泊を伴う場合1人1泊150円です(日光市「入湯税」)。
届出から営業開始までの流れ
- 物件の所在地で、都市計画・建築・消防・ごみ・下水道などの確認を済ませる(前の表)
- 管轄の健康福祉センター(宇都宮市は県庁)に、電話してから相談に行く
- 消防本部で消防法令適合通知書の交付を受ける
- 民泊制度運営システムで届出をする(添付書類は県の別表1)
- 届出番号の通知を受け、門扉や玄関など、地上からおおむね1.2〜1.8mの位置に標識を掲げて営業を始める
- 2か月ごと(2月・4月・6月・8月・10月・12月の15日まで)に、宿泊日数などを報告する
宿泊者の衛生・安全、外国人宿泊者への案内、宿泊者名簿と本人確認、騒音やごみの説明、苦情への対応など、事業者が守ることは県の別表2にまとまっています(栃木県「住宅宿泊事業の実施に係る義務等一覧(別表2)」)。家主不在型や、居室が5を超える場合は、住宅宿泊管理業者への委託が必要です。
実務では、改修工事を伴う場合、事前相談から届出の受理まで1年近くかかることもあります。工事の期間中も家賃やローンはかかるため、開業時期は余裕をもって見込んでおきます。
旅館業(簡易宿所)で営業する場合
年180日を超えて営業したい場合は、旅館業法の許可を検討します。許可の窓口は、宇都宮市内は宇都宮市保健所、ほかの市町は管轄の県健康福祉センターです。旅館業では、用途地域や建物の確認済証・検査済証などの条件が加わります。
実務でつまずきやすい点
宇都宮市の物件で、届出先を市の保健所だと思い込む
宇都宮市内の民泊新法の届出先は、県庁の医薬・生活衛生課です。食事の提供や温泉の許可は宇都宮市保健所なので、手続きによって窓口が分かれます。
那須の別荘地で、事業として使えるかを確かめずに契約する
別荘地の物件では、法令とは別に、別荘地の管理規約や管理会社との契約で、第三者への貸し出しや事業での利用、ごみの出し方などが決められていることがあります。あわせて、市街化調整区域や都市計画区域外かどうか、開発許可の扱いを県の都市政策課などで確認します。物件の契約の前に、管理規約と都市計画の両方を確かめておきます。
下水道のない地域の物件で、設備の確認が後回しになる
郊外や別荘地では、下水道ではなく浄化槽を使っている物件や、井戸水を使っている物件があります。宿泊者が使う水と排水の設備が、人数に見合っているかを開業前に確認します。
宿泊税の特別徴収の届出を忘れる
那須町で民泊を始める場合は、県への届出とは別に、町へ宿泊税の特別徴収義務者の届出が必要です。宿泊者がいない月も申告が必要なので、開業前に手続きを済ませます。
よくある質問
宇都宮市で民泊を始めるときの届出先はどこですか?
栃木県 保健福祉部 医薬・生活衛生課(県庁)です。ほかの市町は、所在地を管轄する県健康福祉センターが窓口です。
栃木県で、民泊の営業日数を制限する条例はありますか?
2026年10月時点で、栃木県に条例による営業の区域・期間の制限はありません。法律の上限の年180日まで営業できます。
那須町の民泊にも宿泊税はかかりますか?
かかります。2026年10月1日から、民泊の宿泊者も宿泊税の対象です。税額は1人1泊の宿泊料金に応じて100円から3,000円で、事業者は町に特別徴収義務者として届け出て、毎月申告・納入します。
関東のほかの都県の民泊ガイド
届出先や条例による制限は、都県によって大きく違います。物件を比べるときは、所在地の都県のガイドもあわせて確認してください。
- 東京都:23区の条例と届出窓口の一覧
- 神奈川県:7つの届出窓口と、県・横浜市の条例
- 埼玉県:県観光課への届出と、川口市の条例
- 千葉県:県への届出と、市町村別の確認先
- 群馬県:県への届出と、条例・告示の扱い
まとめ
- 栃木県の民泊新法の届出は、所在地を管轄する県健康福祉センター。宇都宮市内は県庁の医薬・生活衛生課
- 県には営業を制限する条例がなく、年180日まで営業できる。消防・ごみ・下水道・都市計画などの確認は物件ごとに必要
- 届出住宅は501件(2026年7月31日現在)で、約半数が那須町。日光市・那須塩原市を合わせた那須・日光地域に集中している
- 那須町は2026年10月から宿泊税を課し、民泊の宿泊者も対象。事業者は特別徴収義務者として届け出て、毎月申告・納入する
- 別荘地の物件は、管理規約・都市計画・水回りの設備を契約前に確認する
参考資料
- 住宅宿泊事業法(e-Gov法令検索)
- 栃木県「住宅宿泊事業法について」
- 栃木県「住宅宿泊事業の相談・届出窓口一覧」
- 栃木県「届出住宅一覧(令和8(2026)年7月31日現在)」
- 栃木県「住宅宿泊事業を始める方へ」
- 栃木県「住宅宿泊事業の実施に係る義務等一覧(別表2)」
- 栃木県「関係他法令一覧(別表3)」
- 那須町「宿泊税の導入について」
- 日光市「入湯税」
- 観光庁「各自治体の情報・窓口案内(条例等の状況等)」
- 観光庁「住宅宿泊事業法に基づく届出及び登録の状況一覧」(令和8年9月15日時点)
- 観光庁「住宅宿泊事業の宿泊実績について(令和8年6月-令和8年7月)」
- 観光庁「住宅宿泊事業法に規定する届出住宅に係るゼロ日規制等について」(2026年7月15日)
法令・制度の情報は2026年10月時点で確認したものです。





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