埼玉県の民泊ガイド|県観光課への届出と市町村別の届出件数

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埼玉県では、民泊新法(住宅宿泊事業)の届出を、川口市内を除いて県の観光課が受け付けています。保健所を置く さいたま市・川越市・越谷市も、届出先は県です。県には営業を制限する条例がありませんが、川口市は条例で、商業地域などを除き、9月16日から翌年7月15日まで営業を制限しています。この記事では、届出の流れ、2026年8月から必要になった書類、市町村別の届出件数をまとめています。

結論:届出は県の観光課、川口市だけは市

所在地民泊新法の届出先条例による制限
川口市川口市 経済部 産業振興課商業地域・市街化調整区域以外では、9月16日から翌年7月15日まで営業できない
川口市以外の県内全域(さいたま市・川越市・越谷市を含む)埼玉県 産業労働部 観光課なし
埼玉県の民泊新法の届出先と条例による制限(埼玉県・川口市の公表資料から作成、2026年10月時点)

住宅宿泊事業の事務は原則として県が行い、保健所を置く市は、県との協議で事務を引き受けることができます。埼玉県では、2018年4月に中核市になった川口市だけが県と協議書を交わし、市内の届出を受け付けています(埼玉県「住宅宿泊事業法に関する事務の移譲について」)。さいたま市・川越市・越谷市は市の保健所を置いていますが、民泊新法の届出は県の観光課です(さいたま市)。

一方、旅館業の許可や、民泊で食事を出すときの飲食店営業の許可は、保健所が窓口です。さいたま市・川越市・越谷市・川口市では市の保健所、それ以外は県の保健所になるため、同じ物件でも手続きによって窓口が分かれます。

条例による制限

埼玉県:制限の条例はない

住宅宿泊事業法 第18条では、都道府県と、民泊の事務を行う保健所設置市が、条例で区域を定めて営業できる期間を制限できます(住宅宿泊事業法)。埼玉県は、この条例を制定していません(埼玉県)。川口市以外の県内では、営業できる日数は法律の上限の年180日です。

川口市:商業地域などを除き、9月16日から翌年7月15日まで営業できない

川口市は「川口市住宅宿泊事業を制限する区域及び期間を定める条例」(平成30年条例第53号)で、次のように制限しています(川口市「住宅宿泊事業の手引き」2024年8月改訂)。

項目内容
制限される区域市街化調整区域と商業地域以外の地域(敷地の過半が区域内にあれば、敷地全体が区域内とみなされる)
制限される期間毎年9月16日から翌年7月15日まで
営業できる期間(制限区域内)7月16日から9月15日まで
制限を受けない区域商業地域(年180日まで営業できる)
川口市の条例による制限(川口市の手引きから作成)

制限区域では、民泊新法で営業できるのは夏の約2か月だけです。年間を通した稼働を前提にした収支は成り立たないので、川口市の物件は、まず用途地域が商業地域かどうかを、市の都市計画情報か都市計画課で確認します。市街化調整区域の物件は、制限区域から外れていても、都市計画法の扱いを市の開発審査課に事前に相談する必要があります。

営業日数180日の数え方

2026年7月の通知と、今後の動き

2026年7月15日、観光庁などは自治体に「ゼロ日規制等について」を通知し、条例で新たな民泊を禁止したり、営業日を限ったりできることを示しました(観光庁の報道発表)。2026年10月時点で、埼玉県や川口市が条例を改正したという公表は確認できませんが、物件を決める前に、届出先で最新の状況を確認しておきます。

届出の流れと、埼玉県独自の書類

県の観光課への届出(川口市以外)の流れは次のとおりです。窓口で相談したい場合は、電話で予約してから行くよう県が案内しています(埼玉県「届出書類等について」)。

  1. 事前確認:住宅の要件、欠格事由、管理業者への委託の要否、市街化調整区域かどうかを確かめる
  2. 消防本部で消防法令適合通知書の交付を受ける(必要に応じて防火対象物使用開始届出書も出す)
  3. 周辺住民に、事業を始めることを事前に知らせる
  4. 民泊制度運営システムで届出をする(県独自の2つのチェックリストを添付)
  5. 県が書類を確認し、不備がなければ届出番号を通知する。標識は県が発行して送付する
  6. 標識を門扉や玄関など、地上からおおむね1.2〜1.8mの位置に掲げて営業を始める

2026年8月15日から必要になった2つのチェックリスト

川口市以外で届け出る場合、2026年8月15日以降の届出から、次の2つを添付書類として出します。

ほかにも、県の手続きには次の特徴があります。

  • 消防法令適合通知書は、消防本部によっては、消防本部から県の観光課へ電子データで送ることで提出に代えられる
  • 法人の手続では、2026年7月1日から登記事項証明書の添付を省略できる
  • 標識は事業者が作るのではなく、県が発行して送付する(共同住宅の共用部分などに掲げる簡素な標識は、事業者が作る)
  • 届出日・届出番号・届出住宅の所在地は、県のホームページで公表される

周辺住民への事前の周知と、保険

県の手引きは、事業を始めることを事前に周辺住民へ知らせるよう求めています。また、火災保険や第三者への賠償保険などへの加入を勧めています(埼玉県「民泊(住宅宿泊事業)の手引き」2026年4月1日更新)。

民泊向けの保険

市街化調整区域の物件

市街化調整区域の物件で民泊を考える場合は、市町村の開発許可の担当課に必ず相談します。越生町、鳩山町、ときがわ町、横瀬町、皆野町、長瀞町、小鹿野町、東秩父村、美里町、神川町、上里町、寄居町の12町村は、県が開発許可の権限を持っているため、川越建築安全センター東松山駐在の開発指導担当が相談先です(埼玉県「住宅宿泊事業を営むための主な要件」)。

市街化調整区域の物件を検討するときの確認手順

実務では、改修工事を伴う場合、事前相談から届出の受理まで1年近くかかることもあります。工事の期間中も家賃やローンはかかるため、開業時期は余裕をもって見込んでおきます。

市町村別の届出件数

埼玉県が公表している市町村別の内訳(2026年9月30日時点、廃止分を除く)によると、川口市を除く県内の届出住宅は469件です。保健所の管轄ごとに並べると次のとおりです。

保健所市町村と届出件数
さいたま市保健所さいたま市 71件
川越市保健所川越市 68件
越谷市保健所越谷市 8件
川口市保健所川口市 17件(観光庁、2026年9月15日時点)
南部保健所蕨市 7件、戸田市 7件
朝霞保健所朝霞市 30件、志木市 3件、和光市 4件、新座市 10件、富士見市 2件、ふじみ野市 4件、三芳町 2件
春日部保健所春日部市 5件、松伏町 0件
草加保健所草加市 9件、八潮市 1件、三郷市 5件、吉川市 0件
鴻巣保健所鴻巣市 9件、上尾市 5件、桶川市 3件、北本市 1件、伊奈町 2件
東松山保健所東松山市 4件、滑川町 1件、嵐山町 1件、小川町 9件、川島町 2件、吉見町 0件、ときがわ町 7件、東秩父村 2件
坂戸保健所坂戸市 0件、鶴ヶ島市 0件、毛呂山町 7件、越生町 0件、鳩山町 1件
狭山保健所所沢市 38件、飯能市 26件、狭山市 5件、入間市 3件、日高市 5件
加須保健所行田市 2件、加須市 2件、羽生市 2件
幸手保健所久喜市 8件、蓮田市 1件、幸手市 3件、白岡市 2件、宮代町 2件、杉戸町 2件
熊谷保健所熊谷市 5件、深谷市 2件、寄居町 9件
本庄保健所本庄市 1件、美里町 1件、神川町 1件、上里町 1件
秩父保健所秩父市 39件、横瀬町 8件、皆野町 2件、長瀞町 6件、小鹿野町 3件
保健所の管轄ごとの届出件数(埼玉県「受理済届出件数 市町村別内訳」令和8年9月30日時点。川口市は観光庁「住宅宿泊事業法に基づく届出及び登録の状況一覧」令和8年9月15日時点)

さいたま市71件の区別の内訳は、浦和区12件、大宮区10件、見沼区9件、桜区8件、中央区7件、岩槻区7件、緑区6件、南区6件、西区5件、北区1件です。

川越市、秩父地域(秩父市・横瀬町・長瀞町など)、所沢市・飯能市、朝霞市・新座市などに多く見られます。件数は届出の数で、実際に稼働しているかどうかは表しません。観光庁の集計では、2026年6〜7月の埼玉県の届出住宅1件あたりの宿泊日数は9.4日で、全国の15.4日を大きく下回ります(観光庁「住宅宿泊事業の宿泊実績について」)。収支の計画では、稼働日数を控えめに置いて試算します。

稼働率を統計から置いて収支を試算する

食事・温泉・旅館業の窓口

手続き窓口
食事の提供(飲食店営業の許可)物件を管轄する保健所(前の表のとおり)
温泉の利用(手湯・足湯を含む)埼玉県 保健医療部 薬務課(温泉利用許可)
温泉を使う「特定施設」の下水道使用開始の届出市町村の下水道担当課
旅館業(簡易宿所)の許可物件を管轄する保健所。県の保健所での申請手数料は24,000円
民泊新法の届出以外の窓口(埼玉県「食事等・温泉の提供について」「生活衛生営業/旅館・ホテル等」、県の手引きから作成)

年180日を超えて営業したい場合や、川口市の制限区域で通年の営業をしたい場合は、旅館業の許可を検討します。旅館業では、用途地域や建物の確認済証・検査済証などの条件が加わります(埼玉県「生活衛生営業/旅館・ホテル等」)。

旅館業・民泊新法・特区民泊の違いと選び方
埼玉・千葉・神奈川の旅館業の窓口一覧

実務でつまずきやすい点

保健所を置く市で、届出先を保健所だと思い込む

さいたま市・川越市・越谷市では、旅館業や飲食店営業は市の保健所ですが、民泊新法の届出は県の観光課です。最初の相談先を間違えないようにします。

川口市の物件で、通年の稼働を前提にする

川口市の制限区域では、営業できるのは7月16日から9月15日までです。物件の資料に用途地域が書かれていない場合は、契約の前に市の都市計画情報で確認します。

以前の情報で書類をそろえ、チェックリストが足りない

2026年8月15日以降の届出では、県独自のチェックリスト2種類が必要です。ネットの古い情報や、以前に届け出たときの書類一覧だけで準備すると、不足が出ます。届出の前に、県の書類一覧の最新版を確認します。

温泉を使う物件で、許可と届出を見落とす

浴槽に温泉を引く場合は、手湯・足湯も含めて温泉利用許可が必要です。特定施設にあたる場合は、下水道の使用開始の届出も必要になります。

よくある質問

さいたま市で民泊を始めるときの届出先はどこですか?

埼玉県 産業労働部 観光課です。さいたま市は保健所を置く市ですが、民泊新法の事務は県が行っています。食事の提供や旅館業の許可は、さいたま市保健所が窓口です。

川口市では民泊はできますか?

できますが、条例による制限があります。商業地域と市街化調整区域以外の地域では、9月16日から翌年7月15日まで営業できず、営業できるのは夏の約2か月です。商業地域では、法律どおり年180日まで営業できます。届出先は川口市 経済部 産業振興課です。

埼玉県で民泊の標識は自分で作るのですか?

県の観光課に届け出た場合、標識は県が発行して送付します。共同住宅で、共用エントランスや集合ポストなどに掲げる簡素な標識は、事業者が作ります。

関東のほかの都県の民泊ガイド

届出先や条例による制限は、都県によって大きく違います。物件を比べるときは、所在地の都県のガイドもあわせて確認してください。

  • 東京都:23区の条例と届出窓口の一覧
  • 神奈川県:7つの届出窓口と、県・横浜市の条例
  • 千葉県:県への届出と、市町村別の確認先
  • 栃木県:健康福祉センターへの届出と、那須町の宿泊税
  • 群馬県:県への届出と、条例・告示の扱い

まとめ

  • 埼玉県の民泊新法の届出は、川口市を除いて県の産業労働部 観光課。さいたま市・川越市・越谷市も届出先は県
  • 県には営業を制限する条例がない。川口市は商業地域・市街化調整区域以外で、9月16日から翌年7月15日まで営業を制限している
  • 2026年8月15日以降の届出では、県独自のチェックリスト2種類を添付する。標識は県が発行する
  • 市街化調整区域の物件は開発許可の担当課に相談する。12町村は川越建築安全センター東松山駐在
  • 川口市を除く届出住宅は469件(2026年9月30日時点)。さいたま市・川越市・秩父地域・所沢市などに多い

参考資料

法令・制度の情報は2026年10月時点で確認したものです。