茨城県で民泊を始めるには|届出の窓口と市街化調整区域の確認

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茨城県で民泊新法(住宅宿泊事業)の届出をする先は、県内のどの市町村でも、県庁の生活衛生課です。県には営業を制限する条例はありませんが、周辺住民へのチラシの配布など、県独自のルールがあります。この記事では、届出の窓口と流れ、市街化調整区域の物件の確認先、市町村別の届出件数をまとめています。

結論:届出は県生活衛生課の1か所、条例による制限はない

茨城県では、民泊新法の届出の受付と相談を、県 保健医療部 生活衛生課が県内全域について担当しています。水戸市(中核市)やつくば市の物件でも、届出先は市ではなく県です(茨城県「届出・ルールなど」)。

項目内容
届出の方法観光庁の民泊制度運営システムが原則。システムが使えない場合は、書類の持参か郵送
書類の提出先・相談窓口茨城県 保健医療部 生活衛生課(水戸市笠原町978番6 県庁行政棟14階)
電話029-301-3414
受付時間平日 8時30分〜16時30分(正午〜13時を除く)。窓口での相談は事前に連絡する
茨城県の民泊新法の届出窓口(茨城県「届出・ルールなど」「住宅宿泊事業(民泊)」から作成)

一方、旅館業の許可や、民泊で食事を出す場合の食品営業許可、温泉の利用許可は、物件を管轄する保健所の担当です。水戸市内の旅館業は、2020年4月の中核市への移行後は水戸市が担当しています(茨城県「旅館業」)。手続きによって窓口が分かれる点に注意します。

住宅宿泊事業法 第18条では、都道府県などが条例で区域を定めて、営業できる期間を制限できます(住宅宿泊事業法)。茨城県は、この条例による制限をしていないと明記しています。県内では、法律の上限の年180日まで営業できます。

茨城県の独自ルール:周辺住民への告知と、届出情報の公開

茨城県は、条例で制限しない代わりに、地域に受け入れられる民泊運営のためとして、事業者に次の2つのルールを設けています(茨城県「届出・ルールなど」)。

周辺住民へのチラシの配布

届出が受理されると、県から届出番号の通知とあわせて、標識と周辺住民向けのチラシが送られてきます。チラシに苦情などの連絡先(家主不在型では住宅宿泊管理業者の連絡先)を書き、事業を始める前に周辺の住民に配ります(茨城県「住宅宿泊事業(民泊)を始める方へのご案内」)。

住宅宿泊事業法 第10条は、周辺住民からの苦情や問い合わせへの対応を事業者に義務づけています。県の案内では、深夜・早朝を問わず常時対応すること、宿泊者がいない間も対応すること、苦情の概要と対応を記録して保存することを求めています。チラシを配る範囲は県の資料に書かれていないため、届出の際に県に確認しておきます。

届出情報の公開への同意

届出年月日と届出住宅の所在地を、県のホームページなどで公開することへの同意が必要です。届出番号は、公開された番号を無断で使って違法な物件を予約サイトに載せる事案があったことから、2020年5月から公開していません(茨城県「住宅宿泊事業者の届出情報の公表について」)。

届出から営業開始までの流れ

県の案内では、届出から営業開始までは次の流れです。届出は、事業を始める日の少なくとも15営業日前までに出します(茨城県「住宅宿泊事業(民泊)を始める方へのご案内」)。

順番やること相手先
1都市計画・建築・消防・ごみ・税務などの確認と調整(市街化調整区域の物件は次の節)消防署、保健所、建築・都市計画・廃棄物の担当部署、税務署など
2消防法令適合通知書の交付を受ける管轄の消防署か消防本部
3家主不在型や、居室が5を超える場合は、住宅宿泊管理業者と委託契約を結ぶ国土交通大臣の登録を受けた管理業者
4事業開始の15営業日前までに届出をする民泊制度運営システム(書類の場合は県生活衛生課)
5届出番号の通知、標識、周辺住民向けのチラシを受け取る県生活衛生課
6チラシに連絡先を書いて周辺住民に配り、標識を掲げてから営業を始める―
茨城県での届出から営業開始までの流れ(茨城県「住宅宿泊事業(民泊)を始める方へのご案内」から作成)

標識は、門扉や玄関など、地上からおおむね1.2〜1.8mの見やすい位置に掲げます(住宅宿泊事業法 第13条)。営業を始めた後は、2か月ごと(偶数月の15日まで)に、宿泊日数などを県に報告します(住宅宿泊事業法 第14条、住宅宿泊事業法施行規則 第12条)。

必要書類で、茨城県で気をつける点

必要書類の全体は県の「届出書類一覧表」にまとまっています(茨城県「住宅宿泊事業 届出書類一覧表」)。そのうち、手戻りになりやすい点は次のとおりです。

  • 登記事項証明書や身分証明書など、官公署が発行する書類は届出日前3か月以内に発行された原本。写しは認められない
  • 欠格事由に当たらないことの誓約書は、県の様式(様式1:法人、様式2:個人)を使う。ガイドラインの様式A・Bの代わりに出す
  • 「随時、所有者などが居住している家屋」として届け出る場合は、届出日前1年以内の、周辺の商店のレシートや交通費の領収書などで証明する
  • 住宅の図面には、台所・浴室・便所・洗面設備の位置、間取りと出入口、各階の別、居室・宿泊室などの床面積、非常用照明器具の位置などの安全措置を書く
  • マンションで管理規約に民泊の定めがない場合は、管理組合が禁止の方針を決議していないことを確認した誓約書(県の様式C)を出す
民泊の届出に必要な書類と取り方
消防法令適合通知書の取り方と、必要な消防設備

市街化調整区域の物件は、届出の前に開発担当部署へ

市街化調整区域では、都市計画法により、開発行為や建築物の建築、用途の変更が原則として制限されています。茨城県は、家主不在型で民泊を行う場合、住宅が建てられた経緯によって都市計画法の制限がかかることがあるとして、届出の前に開発担当部署(処分庁)に確認するよう案内しています(茨城県「市街化調整区域で住宅宿泊事業をご検討されている方へ」)。

県の資料では、都市計画法では住宅が建てられた経緯によって事業者の居住・不在を判断するため、住宅宿泊事業法の家主居住型・不在型の区分とは判断が異なる場合があるとも書かれています。相談の前に、土地・建物の登記事項証明書や、建築確認を受けたことが分かる資料(建築計画概要書など)で、建てられた経緯を確かめておきます。

物件の所在地相談先(開発担当部署)
水戸市都市計画部 建築指導課(開発指導室)
つくば市都市計画部 開発指導課
日立市都市建設部 建築指導課
土浦市都市政策部 建築指導課
古河市都市建設部 建築指導課
石岡市都市建設部 建築住宅指導課
結城市都市建設部 都市計画課
龍ケ崎市都市整備部 都市計画課
常総市都市建設部 都市計画課
常陸太田市建設部 建築住宅課
笠間市都市建設部 都市計画課
取手市都市整備部 建築指導課
牛久市建設部 建築住宅課
ひたちなか市都市整備部 建築指導課
鹿嶋市都市整備部 都市計画課
潮来市建設部 都市建設課
守谷市都市整備部 都市計画課
那珂市建設部 都市計画課(開発指導室)
筑西市土木部 宅地開発課
坂東市都市建設部 都市整備課
かすみがうら市都市建設部 都市整備課(開発指導室)
桜川市建設部 都市整備課
神栖市都市整備部 開発審査課
行方市建設部 都市建設課
鉾田市建設部 都市計画課
つくばみらい市都市建設部 住まい開発政策課
小美玉市都市建設部 都市政策課
東海村建設部 都市整備課
境町建設農政部 都市計画課(開発指導係)
茨城町、大洗町、城里町県 県央建築指導室(宅地)
高萩市、北茨城市、常陸大宮市、大子町県 県北県民センター 建築指導課
稲敷市、美浦村、阿見町、河内町、利根町県 県南県民センター 建築指導課(宅地)
下妻市、八千代町、五霞町県 県西県民センター 建築指導課(宅地)
市街化調整区域の相談先(茨城県「市街化調整区域で住宅宿泊事業をご検討されている方へ」の相談窓口一覧から作成。電話番号と所在地は県の資料を参照)

下妻市、高萩市、北茨城市、笠間市、常陸大宮市、行方市、鉾田市、小美玉市、大子町、河内町には、市街化調整区域はありません。ただし、都市計画区域外や非線引きの区域でも、建築基準法や用途地域などの確認は必要です。

市街化調整区域の物件を検討するときの確認手順

市町村別の届出件数(2026年10月1日時点)

県が公表している届出情報の一覧(2026年10月1日時点)を市町村ごとに数えると、県内の届出住宅は243件で、44市町村のうち35市町村に届出があります(茨城県「住宅宿泊事業者の届出情報一覧」)。

市町村件数
鹿嶋市31件
つくば市29件
水戸市17件
大洗町16件
龍ケ崎市16件
笠間市15件
ひたちなか市14件
鉾田市14件
土浦市11件
常陸太田市9件
茨城町6件
取手市5件
石岡市5件
古河市5件
日立市5件
行方市4件
北茨城市4件
小美玉市3件
かすみがうら市3件
常総市3件
東海村3件
結城市3件
阿見町2件
高萩市2件
城里町2件
美浦村2件
神栖市2件
稲敷市2件
牛久市2件
守谷市2件
常陸大宮市2件
筑西市1件
潮来市1件
坂東市1件
境町1件
茨城県の市町村別の届出住宅数(茨城県「住宅宿泊事業者の届出情報一覧(令和8年10月1日時点)」から集計)

鹿嶋市・大洗町・鉾田市の鹿島灘沿いで61件、つくば市・水戸市の都市部で46件と、海沿いと都市部の両方に届出があります。件数は届出の数で、実際に稼働しているかどうかは表しません。

届出年月日で数えると、届出は近年増えています。一覧には現在も届出中の住宅だけが載っているため、廃業した住宅は含みません。

届出年件数
2018年30件
2019年8件
2020年13件
2021年10件
2022年18件
2023年28件
2024年42件
2025年44件
2026年(1〜9月)50件
現在の届出住宅の届出年(同じ一覧の届出年月日から集計。2018年6月15日より前の届出は、法の施行日の6月15日として載っている)

観光庁が公表している茨城県の届出住宅数は269件(2026年9月15日時点)で、県の一覧とは時点や集計の方法が違うため一致しません(観光庁「届出及び登録の状況一覧」)。

観光庁の集計では、2026年6〜7月の茨城県の届出住宅1件あたりの宿泊日数は8.8日で、全国の15.4日を下回ります(観光庁「住宅宿泊事業の宿泊実績について」)。夏休みを含む2か月の数字なので、収支を試算するときは、稼働をさらに控えめに置いておきます。

稼働率を統計から置いて収支を試算する

条例の今後と、宿泊税

2026年7月15日には、観光庁などが自治体に「ゼロ日規制等について」を通知し、条例で新たな民泊を禁止したり、営業日を限ったりできることを示しました(観光庁の報道発表)。2026年10月時点で、茨城県が条例を検討しているという公表は確認できませんが、届出の前に県生活衛生課で最新の状況を確認しておきます。

2026年10月時点で、茨城県と県内の市町村の宿泊税について、導入の公式発表は見当たりません。

民泊が宿泊税の対象になるかどうか

旅館業(簡易宿所)で営業する場合

年180日を超えて営業したい場合は、旅館業法の許可を検討します。相談・申請先は物件を管轄する保健所で、水戸市内は水戸市です。県の申請手数料は23,000円(営業期間が3か月以内の季節営業は8,200円)で、県は「建物の設計が完了する前に保健所に相談する」よう案内しています(茨城県「旅館業営業許可申請」)。旅館業では、用途地域や建物の確認済証・検査済証などの条件が加わります。

旅館業・民泊新法・特区民泊の違いと選び方
茨城・栃木・群馬の旅館業の窓口一覧

実務でつまずきやすい点

水戸市・つくば市の物件で、届出先を市だと思い込む

民泊新法の届出先は、水戸市・つくば市を含めて県生活衛生課です。旅館業の許可や食品営業許可は保健所(水戸市内は水戸市)なので、手続きによって窓口が分かれます。

市街化調整区域の住宅を、家主不在型で使おうとする

住宅宿泊事業法の届出の要件を満たしていても、都市計画法の扱いは別に判断されます。県の資料のとおり、住宅が建てられた経緯によっては、家主不在型で使うことに都市計画法の制限がかかります。物件の契約や改修の前に、開発担当部署で確認しておきます。

証明書の期限切れや、写しでの提出

官公署の証明書は届出日前3か月以内の原本が必要です。消防法令適合通知書や改修工事を待つ間に期限が切れることがあるので、証明書は届出の直前にまとめて取ります。実務では、改修工事を伴う場合、事前相談から届出の受理まで1年近くかかることもあります。

チラシを配らずに営業を始める

茨城県では、届出番号が届いた後、チラシの配布と標識の掲示を済ませてから営業を始める流れです。家主不在型では、チラシに書く管理業者の連絡先と、苦情があったときに現地へ向かう体制を、管理業者と事前に決めておきます。

住宅宿泊管理業者の選び方

海沿いや郊外の空き家で、水回りの設備の確認が後回しになる

郊外の物件では、下水道ではなく浄化槽を使っている物件があります。宿泊者が使う排水の設備が、人数に見合っているかを開業前に確認します。水道の使用目的が変わる場合は、市町村への用途変更の届出が必要になることがあります(茨城県「住宅宿泊事業法の実施に係る他法令の手続きについて」)。

汲み取り式・単独浄化槽の物件

よくある質問

水戸市で民泊を始めるときの届出先はどこですか?

茨城県 保健医療部 生活衛生課です。水戸市は中核市ですが、民泊新法の届出は県が受け付けています。旅館業の許可は水戸市の担当です。

茨城県で、民泊の営業日数を制限する条例はありますか?

2026年10月時点で、茨城県に条例による営業の区域・期間の制限はありません。法律の上限の年180日まで営業できます。

届出は営業開始のどれくらい前に出せばよいですか?

県は、事業を始める日の少なくとも15営業日前までに届出をするよう案内しています。届出の後、チラシの配布と標識の掲示を済ませてから営業を始めるため、余裕をもって出しておきます。

市街化調整区域の空き家で民泊はできますか?

物件ごとに判断が分かれます。住宅が建てられた経緯によっては、都市計画法の制限がかかります。届出の前に、所在地の開発担当部署(この記事の表)に確認してください。

関東のほかの都県の民泊ガイド

届出先や条例による制限は、都県によって大きく違います。物件を比べるときは、所在地の都県のガイドもあわせて確認してください。

  • 東京都:23区の条例と届出窓口の一覧
  • 神奈川県:7つの届出窓口と、県・横浜市の条例
  • 埼玉県:県観光課への届出と、川口市の条例
  • 千葉県:県への届出と、市町村別の確認先
  • 栃木県:健康福祉センターへの届出と、那須町の宿泊税
  • 群馬県:県への届出と、条例・告示の扱い

まとめ

  • 茨城県の民泊新法の届出は、水戸市・つくば市を含めて県内全域で県生活衛生課。旅館業や食品営業許可は保健所(水戸市内は水戸市)
  • 県には営業を制限する条例がなく、年180日まで営業できる。代わりに、周辺住民へのチラシの配布と、届出情報の公開への同意が求められる
  • 届出は事業開始の15営業日前まで。チラシを配り、標識を掲げてから営業を始める
  • 市街化調整区域の物件は、建てられた経緯によって都市計画法の制限がかかる。届出の前に開発担当部署へ確認する
  • 届出住宅は243件(2026年10月1日時点)。鹿嶋市・つくば市・水戸市・大洗町・龍ケ崎市に多い

参考資料

法令・制度の情報は2026年10月時点で確認したものです。