【関東甲信版】都道府県別・開発行為に関する条例まとめ

このページでわかること
・都道府県の開発条例ってどんな意味?
・関東の各都道府県(茨城・栃木・群馬・埼玉・東京・千葉・神奈川・山梨・長野)の開発行為に関する条例の有無や規制内容の概要

民泊や簡易宿所営業を開業を計画する際、取得する物件によっては新たに土地を取得して建物を新築したり、何か新しい施設や設備を構築するため、土地を地ならしをしたり、切り崩したりする必要も出てくると思います。

しかし、そうした行為は内容によっては「開発行為」にあたり、場合によっては都市計画法上の開発許可」を取得する必要が出てきます。

都市計画法上の開発行為って?

この法律において「開発行為」とは、主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更をいう。

都市計画法 第四条

都市計画法において、開発行為とは上記のように定義されています。つまり、「建物」や「特定工作物(コンクリートプラント=コンクリート製造装置のことやゴルフコースなど)」を建設するために、道路を作るなどで土地の区画を変更したり、盛土や切土で土地の形状を変更したり、宅地以外の土地(農地・山林など)を宅地にするなどの行為を行うことを「開発行為」と呼びます。

開発というと、大手の不動産会社なんかが都市開発を行うかのようなイメージを抱くかと思いますが、普通に家を建てるために地ならしをする行為なんかが該当する場合もあり、意外と法律上の定義の解釈は広いです。

開発行為を行う場合は開発許可が必要

開発行為を行う場合、「開発許可」という許認可をもって初めてその行為の実施が可能になります。これに関わる許可要件はかなり膨大かつ専門的になるのでここでは省略しますが、まず開発許可が必要になるかどうかの基準として開発を行う区域の面積が判断基準になります。

この対象規模面積は都市計画法上の都市計画区域によって異なります。面積としては以下の表のようになっています。

区域区分規制面積
都市計画区域内市街化区域1,000㎡
市街化調整区域原則すべての開発行為
非線引き区域3,000㎡
準都市計画区域3,000㎡
都市計画区域外10,000㎡
都市計画区域についてはこちらを参照してください。

開発行為を規制するのは「都市計画法」だけじゃない

ここで注意すべきこととして、都市計画法のほか、各自治体の条例や指導要綱によってその開発行為の規制が厳しくなっている場合があることが挙げられます。

例えば、都市計画法上の都市計画区域外であれば、10,000㎡未満の土地であれば開発許可の取得が必要ありません。しかし、条例で規制が厳しくなっていると、たとえ10,000㎡未満の土地であっても自治体の開発許可を取得しなければならないケースがあります。

開発許可を取得するとなると、その申請や行政との協議に想定外の時間がかかる場合があります。また、許可基準を満たすために追加の工事が発生すると莫大な工事費用がかかったり、土地の状態によってはそもそも開発許可を取得すること自体が困難であるという可能性すらあります。

そこで、以下からは、民泊や簡易宿所開業の候補物件を検討する際に考慮しておきたい「各都道府県の開発行為の規制条例(関東版)」をまとめましたので、参考にしてください。

茨城県

茨城県の開発行為に関する条例としては「茨城県土地開発事業の適正化に関する指導要綱」があります。

稲敷市、美浦村、阿見町、河内町、利根町においては、建築物を建築しない場合においても、1ヘクタール以上の一団の土地開発事業、若しくは1ヘクタール又は20,000立方メートル以上の土採取を行おうとする場合は、原則として「茨城県土地開発事業の適正化に関する指導要綱」に基づく設計承認が必要になります。

茨城県HP「宅地開発・土地開発関係

都市計画法上は「建築物の建築又は特定工作物の建設を目的として行う」土地の区画形質の変更が規制対象の行為でしたが、茨城県内の一部市町村については建築物の建築を目的としなくてもこちらの指導要綱の技術基準を満たす必要があります。

茨城県の開発行為に関する詳細はこちら(茨城県土木部建築指導課宅地)

栃木県

栃木県には開発行為に関する条例の中で、民泊・簡易宿所開業の際に関連しそうな規制強化は見受けられませんでした。

栃木県の開発行為に関する詳細はこちら(栃木県都市計画課開発指導担当)

栃木県の開発行為の関連規定に関してはこちら(栃木県都市計画課開発指導担当)

群馬県

群馬県には開発行為に関する条例の中で、民泊・簡易宿所開業の際に関連しそうな規制強化は見受けられませんでした。

群馬県の開発行為に関する詳細はこちら(県土整部建築課開発係)

群馬県の開発行為の関連規定に関してはこちら(県土整部建築課開発係)

埼玉県

埼玉県の開発許可は、県のHPに、市町村の条例によるところが明記されています。

埼玉県の開発行為に関する詳細はこちら(都市整備部都市計画課開発指導・屋外広告物担当)

千葉県

千葉県の開発行為に関する条例としては「宅地開発基準に関する条例」があります。

この条例の規定は、都市計画法(昭和43年法律第100号)第4条第2項に規定する都市計画区域及び準都市計画区域以外の地域において行われる0.5ヘクタール(次の表の上欄に掲げる市町村の区域にあつては、それぞれ当該下欄に定める面積)以上1ヘクタール未満の一団の土地に係る宅地開発事業…(以下略)

千葉県HP 宅地開発基準に関する条例

都市計画区域外であれば通常10,000㎡~開発許可となるところ、条例により5,000㎡(一部市町村は更に小さい面積)から開発行為として満たすべき技術基準等が定められています。

千葉県の開発行為に関する詳細はこちら(県土整備部都市計画課開発指導班)

東京都

東京都には開発行為に関する条例の中で、民泊・簡易宿所開業の際に関連しそうな規制強化は見受けられませんでした。

東京都の開発行為に関する詳細はこちら(市街地整備部 区画整理課 開発指導担当・盛土対策担当)

東京都の開発行為の関連規定に関してはこちら

神奈川県

神奈川県には開発行為に関する条例の中で、民泊・簡易宿所開業の際に関連しそうな規制強化は見受けられませんでした。

神奈川県の開発行為に関する詳細はこちら(平塚土木事務所)

山梨県

千葉県の開発行為に関する条例としては「山梨県宅地開発事業の基準に関する条例」があります。

山梨県の開発行為に関する詳細はこちら(山梨県県土整備部都市計画課)

山梨県の開発行為に関する条例はこちら(山梨県県土整備部都市計画課)

長野県

長野県には開発行為に関する条例の中で、民泊・簡易宿所開業の際に関連しそうな規制強化は見受けられませんでした。

長野県の開発行為に関する詳細はこちら(建設部都市・まちづくり課)

長野県の開発行為の関連規定に関してはこちら(建設部都市・まちづくり課)

詳細は必ず都道府県担当課へお問合せを

行為の内容や規模によっては別途関連する条例があったり、行為の内容や規模が該当しなくても事前に協議が必要な場合があります。

物件の候補などが決まった段階で、取得前に必ず各自治体へ確認を行うようお願いいたします。
(お問い合わせの際には所轄エリア・担当事務にお間違えがないか今一度ご確認ください)

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