【都市計画法】民泊・貸別荘の開業と都市計画区域はどう関係してくる?

このページでわかること
・都市計画区域って何?
・用途地域って何?
・都市計画区域と用途地域は、民泊や貸別荘の開業にどう関係してくるの?

民泊や貸別荘を始めとした宿泊施設は日本全国どこでも開業できるというわけでありません。実は宿泊業の開業は「都市計画法」という法律でエリアに制限がかけられており、規制区域では宿泊業の開業はできない場合があるのです。

都市計画法とは

都市計画法の条文冒頭には、この法律の目的として次のように記載されています。

この法律は、都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。

都市計画法 第一条

つまり、あちこちで好き勝手に開発を進められると無秩序な国になるから、みんなのために都市開発には一定の規制を設けるよ~ってことです。

土地の所有者が自分の好き勝手に開発をしたら、小さな民家の真横に高層ビルを建てたり、畑の間に遊園地を作ったりと、極端に言うとなんでもありな状態となってしまいます。

こうした事態を防ぐために定められているのが「都市計画区域」です。積極的に開発を行うエリア・逆に開発を抑制するエリアなどを国や都道府県が決めることで、今私たちが住んでいるような、秩序の保たれた街が作られているのです。

都市計画区域には5種類の区域区分がある

都市計画区域には5種類の区域区分が設けられています。

日本の土地はまず3種類に分けられます。都市計画区域と、準都市計画区域と、それ以外の都市計画区域外です。

都市計画区域

都市計画区域は、都道府県が街づくりのために積極的に整備管理していこう!と気合を入れている区域です。住宅街や店舗・飲食店などが集中して人が住みやすい市街地エリア(市街化区域)を定めたり、自然を守るために開発や建築はあまり行われないよう規制するエリア(市街化調整区域)を定めたりして、住民や事業者の好き勝手にさせないように管理を強化しています。

都市計画区域は更に3種類に分けられ、上記のように市街化区域市街化調整区域が定められ、どちらにも属さない区域を非線引き区域といいます。非線引き区域は、文字通り区域が定められていないということで、とりあえず都市計画区域に入れてみたものの、まだこれからどうなるかよくわかんないんだよなぁ…ん~どうしようかな…ここは一旦置いておこう、みたいな区域です。

準都市計画区域

準都市計画区域は、都市計画区域にはならなかった区域だけど、でも将来的に開発したりするかもしれないから、一応好き勝手させないように監視しとく?的なニュアンスの区域です。

高速道路のインターチェンジ周辺などに定められるようですが、私は一度もこのエリアにお目にかかったことはありません。おそらく普通に物件探しをしていれば出会うことはめったにないでしょう。

都市計画区域外

都市計画区域に定められず、準都市計画区域にもならなかったエリアが都市計画区域外です。規制はそんなに厳しくない区域、というイメージでまずは大丈夫です。

民泊や貸別荘の開業に関係するのは「用途地域」

上記で説明した5つの区域ですが、これ自体は一般的に宿泊業の開業自体には影響しません。都市計画区域によって宿泊業の営業を縛る規制は存在しないからです。

※ただし、自治体によっては条例で市街化調整区域での宿泊施設の営業は認めていないといったこともあり、管轄行政への確認は必要です。また、市街化調整区域は基本的に建物を建ててはいけない区域の為、既存建築物を取得して民泊や貸別荘を始める場合にはその建物がどういった経緯で建ったのかなどの確認が必要になります。また、更地を買って一から建物を建設する場合は都市計画区域が直に絡んできます。

市街化調整区域と宿泊施設開業の関係についてはこちら

基本的に関係してくるのは「用途地域」という地域区分です。用途地域は「このエリアは住宅しか建てちゃダメ」「このエリアは工場しか建てちゃダメ」「この地域には商業施設も建てていいよ」という風に、建築物の用途や規模によって建てていいものとダメなものを定めるもので、ざっくりいうと用途地域は市街化区域に定められる地域区分です。

用途地域が定められている場合は、建築物の用途によってその場所に建てていい悪いが決まっているというのが重要で、用途地域の種類によっては宿泊業用途の建物の建築がNGとされています。こうしたエリアでは宿泊業が認められないということになるので、どんなに魅力的な物件でも営業自体ができないということになります。

具体的に開業できない用途地域はこちら

結論:計画内容によって気にする部分は変わる

あらかじめ建設されている中古物件を取得し、リフォームして開業を行うのであれば上記の用途地域による宿泊業営業の規制の確認が必要になります。

しかし、もし建設されている建物を解体して1から建設し直すとか、建物のない土地に1から建築物を建てるとか、山を買って地ならししたり切り崩したりして造成するとかいう話になると、用途地域の確認だけではなく都市計画区域による規制も確認していかなければなりません。

つまり、どんな工事を見込むのかという計画内容によって、気にするのは都市計画区域なのか、用途地域なのかは異なるということです。また、前述したように自治体の条例でも変わってくることから、実際には計画段階で行政の関連部署に事前相談しておくということが必要になります。

コメント