防火地域・準防火地域・法22条区域って一体どんな規制のある区域なのか?

このページでわかること
・防火地域、準防火地域、法22条区域とはどんな意味を持つ区域なのか。
・それぞれの地域に建物を建てようと思った場合の規制内容

住宅や施設の建設上、非常に重要な意義を持つ「防火地域」という概念。

民泊や貸別荘開業のために不動産情報などを見ていても、割と見かけるワードなのではないでしょうか。

防火地域に似たワードとして、「準防火地域」「法22条区域」というものもあります。なんとなく火事を防ぐための特別な措置が必要になりそうなことは想像できますが、それぞれどのような意味を持っていて、実際にこうしたエリアの物件を購入した場合はどんな影響がでてくるのでしょうか。

防火地域・準防火地域・法22条区域は建築に関係する

防火地域・準防火地域・法22条区域は、いずれも建物の建築に関する概念で、このエリア内に建物を建てる場合、建物の規模などが一定以上の場合には建築基準法に定める耐火仕様にする必要があります。

この3つの違いは、対象となる建物の規模が異なったり、求められる耐火仕様のレベルが異なることです。次項からそれぞれの概要を見ていきましょう。

防火地域・準防火地域

防火地域・準防火地域は都市計画法により定められる区域です。

防火地域又は準防火地域は、市街地における火災の危険を防除するため定める地域とする。

都市計画法第9条21項

防火地域・準防火地域は市街地における火災延焼を予防するための措置であるため、この区域内においては建築できる建物の仕様に規制を課しています。

防火地域・準防火地域の建築上の制限は建築基準法 第五節 防火地域及び準防火地域で定められています。

防火地域

防火地域の規制内容は以下の通りです。

・「3階以上の建物」及び「2階以下で延べ面積が100㎡超の建物」は「耐火建築物
・「1~2階で延べ面積が100㎡以下の建物」は「耐火建築物または準耐火建築物

準防火地域

準防火地域の規制内容は以下の通りです。

・「4階以上の建物」及び「1~3階で延べ面積が1500㎡超の建物」は「耐火建築物
・「1~3階で延べ面積が500㎡超1500㎡以下の建物」は「耐火建築物または準耐火建築物
・「3階建てで500㎡以下の建物」は「耐火建築物または準耐火建築物、または法令で定める一定の技術基準に適合した建物
・「1~2階で延べ面積が500㎡以下の建物」は「木造建築物の場合は、延焼のおそれがある外壁、軒裏などに一定の防火措置を施す

では、ここで挙がっている「耐火建築物」「準耐火建築物」は、つまり一体どんな建物なのでしょうか。

耐火建築物

耐火建築物に関しては建築基準法第2条第1項第9号の2で定められています。

九の二 耐火建築物 次に掲げる基準に適合する建築物をいう。
 その主要構造部のうち、防火上及び避難上支障がないものとして政令で定める部分以外の部分(以下「特定主要構造部」という。)が、(1)又は(2)のいずれかに該当すること。
(1) 耐火構造であること。
(2) 次に掲げる性能(外壁以外の特定主要構造部にあつては、(i)に掲げる性能に限る。)に関して政令で定める技術的基準に適合するものであること。
(i) 当該建築物の構造、建築設備及び用途に応じて屋内において発生が予測される火災による火熱に当該火災が終了するまで耐えること。
(ii) 当該建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱に当該火災が終了するまで耐えること。
 その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に、防火戸その他の政令で定める防火設備(その構造が遮炎性能(通常の火災時における火炎を有効に遮るために防火設備に必要とされる性能をいう。第二十七条第一項において同じ。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を有すること。

建築基準法 第二条第九号

要するに、火災が起きた時に鎮火するまで建築物が倒壊する恐れのない、また、延焼を抑制する構造にしてね、といったイメージです。

準耐火建築物

準耐火建築物に関しては建築基準法第2条第1項第9号の3で定められています。

九の三 準耐火建築物 耐火建築物以外の建築物で、イ又はロのいずれかに該当し、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に前号ロに規定する防火設備を有するものをいう。
 主要構造部を準耐火構造としたもの
 イに掲げる建築物以外の建築物であつて、イに掲げるものと同等の準耐火性能を有するものとして主要構造部の防火の措置その他の事項について政令で定める技術的基準に適合するもの

建築基準法 第二条第九号

要するに、火災が起きた時に延焼を抑制する構造にしてね、ということで、耐火建築物と異なるのは倒壊を防ぐことまでは求められていない点です。

法22条指定区域

法22条指定区域は建築基準法で定められている区域で、特定行政庁が指定します。この区域内では屋根を不燃材料にしなければならないと定められています。

しかし、すべての建物が該当するわけではなく、茶屋、あずまやや延べ面積が十平方メートル以内の物置や納屋などは対象外とされています。

第二十二条 特定行政庁が防火地域及び準防火地域以外の市街地について指定する区域内にある建築物の屋根の構造は、通常の火災を想定した火の粉による建築物の火災の発生を防止するために屋根に必要とされる性能に関して建築物の構造及び用途の区分に応じて政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。ただし、茶室、あずまやその他これらに類する建築物又は延べ面積が十平方メートル以内の物置、納屋その他これらに類する建築物の屋根の延焼のおそれのある部分以外の部分については、この限りでない
 特定行政庁は、前項の規定による指定をする場合においては、あらかじめ、都市計画区域内にある区域については都道府県都市計画審議会(市町村都市計画審議会が置かれている市町村の長たる特定行政庁が行う場合にあつては、当該市町村都市計画審議会。第五十一条を除き、以下同じ。)の意見を聴き、その他の区域については関係市町村の同意を得なければならない。

建築基準法 第二十二条

法22条区域は建築基準法第23条の規定を満たす必要もあります。23条には外壁を準防火性能にしなければならないと定められているので、結果的に法22条指定区域内と定められている地域の場合、建物の周りの素材を燃えにくいものにしなければならないというイメージになります。

それぞれの地域の区分けについて

防火地域の周りに準防火地域があり、その周りの木造住宅地に法22条指定区域が指定されることが多いようです。

根拠法令

根拠法令:都市計画法

根拠法令:建築基準法

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