このページでわかること
・民泊や貸別荘の開業で消防法上必要になる設備
・消防法令適合通知書取得の流れ
・開業後に対応すべき消防設備の点検とは?
民泊や貸別荘を開業しようと思った時には、消防法令適合通知書という書面の添付が必要になります。
消防法令適合通知書は、その建物が宿泊事業として利用する上で消防法令上の規定に適合していることを証明する書面で、営業しようとする建物の実地検査を受けた上で交付される書類です。そのため、法令上の規制を満たした設備を設置する必要があります。
ホテルや旅館に限らず一棟貸しや民泊などの不特定多数が出入りする建物や施設を対象にした基準となっています。旅館業法上の営業許可を取得するにせよ、住宅宿泊事業法上の届出をするにせよ消防法令適合通知書の添付は必要となっています。
そこで、本ページでは消防法令適合通知書はどのような流れで交付されるのか、消防法を満たすためにどんな設備が必要になるかといったことをまとめています。
参考:防火対策の推進等/総務省消防庁
消防法令適合通知書の交付までの流れ
消防法令適合通知書の交付は以下の3ステップで行われます。
①消防法令適合通知書の交付申請
②消防法令適合状況の調査
③消防法令適合通知書の交付
①消防法令適合通知書の交付申請
管轄消防署に所定の様式により交付申請をします。なお、必要な設備等の詳細は事前に管轄消防署へ相談を行った上で設置を済ませている必要があります。
②消防法令適合状況の調査
管轄消防署により、立ち入り検査等を実施がなされます。消防法令に適合しているかどうかの調査がなされます。検査時には原則関係人の立会が必要です。
③消防法令適合通知書の交付
調査の結果に基づき消防法令に適合していると認められると「消防法令適合通知書」が交付されます。
なお、申請からこの通知書の発行までは、標準的には2週間前後の場合が多いようです。しかし、管轄の消防署や物件の状況によっても変わってくるため、余裕を持ったスケジュール組み行うようにしましょう。
消防法令上設置が求められる設備とは
消防法令上設置が求められる設備に関しては、例えば、自動火災報知機や誘導灯といった設備が挙げられます。しかし、具体的にどのような規格の設備が求められるかといった詳細については、物件の規模や構造、一戸建てなのかマンションんなのかなどによって大きく変わってくる項目の為、必ず事前の相談等によって確認が必要です。
ここでは、一戸建て住宅で民泊を行う場合に設置が必要になる設備を整理したいと思います。
自動火災報知設備の設置 | 必須 | 一般的な大きさ(建物の延べ面積300㎡未満)の一戸建て住宅では、簡易な自動火災報知設備(特定小規模施設用自動火災報知設備)の設置が可能。(原則2階建て以下のものに限る。) ※建物の延べ面積が300㎡以上の場合は通常の自動火災報知設備の設置が必要となります。 |
誘導灯の設置 | 必須 ※免除規定あり | 全てのもの。 ※建物の構造が分からない人でも容易に避難が可能など一定の場合は免除が可能。 |
防炎物品の使用 (カーテン、じゅうたん等) | 要対応 | カーテン、じゅうたんなどを用いる場合は、防炎性能を有する防炎物品 |
消火器の設置 | 構造によっては必要 | 以下のいずれかに当てはまる場合は設置が必要 ・建物の延べ面積が150㎡以上のもの ・地階・無窓階・3回以上の階で床面積が50㎡以上のもの |
特定小規模施設用自動火災報知設備とは…通常の自動火災報知機は配線で接続されているため、電気工事が必要になりますが、こちらは無線式のタイプとなっており、消防設備士や電気工事士といった資格がなくても誰でも設置が可能。
消防用設備等点検報告制度
自動火災報知設備を始めとした消防用設備が火災時にその機能を発揮することができるように、定期的な点検と報告が義務付けられます。これは旅館、ホテルのほか、一棟貸しや民泊など宿泊用途の建物などが対象となります。
義務付けられているのは、6ヶ月に1回の機器点検(外観確認や簡易操作により判別できる事項についてのみ行う点検)と、1年に1回の総合点検です。点検の結果は1年に1回消防署へ報告しなければなりません。
点検の実施は構造や面積によりますが、一般的な規模の貸別荘や民泊であれば自分で点検・報告を行うことが可能とされています。
機器点検 | 6ヶ月に1回 |
総合点検 | 1年に1回 |
報告 | 1年に1回 |
コメント