【民泊】家主居住型と家主不在型の違いとは?どっちを選ぶべき?

このページでわかること
・家主居住型と家主不在型ってなに?
・どちらを選択すればいいの?

民泊の運営形態には、「家主居住型」と「家主不在型」の2種類が存在します。

いずれの形態で営業を行うかにより、管理方法が異なります。具体的に言うと、家主不在型で運営する場合は住宅宿泊管理業者に民泊施設の管理委託が必須となっています。また、家主居住型の場合はお客さんが宿泊している間は原則1時間以上家を不在にしてはならないなど、どちらの運営方法をとっても規定があります。

届出申請時にはいずれで運営するかを決めていなければなりません。民泊をどのように営業していくか、具体的に検討したうえで選択する必要があります。

家主居住型と家主不在型の、それぞれの定義と運用方法について解説していきます。

家主居住型と家主不在型の定義とは

家主居住型とは、文字通り届け出る本人が生活の本拠として居住している(つまり届出する人がその住居で生活している)民泊となります。

そもそも、民泊として届出できる家屋の要件として、

①現に人の生活の本拠として使用されている家屋
②入居者の募集が行われている家屋
③随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋

のいずれかを満たす必要があります。(それぞれの詳細に違いについては下記ページを参考にしてください)

この居住要件の①現に人の生活の本拠として使用されている家屋に該当する場合は、家主居住型を選択できます。つまり、これ以外の居住要件(②か③)で民泊の届出を行おうとしている場合は、すべて家主不在型の民泊となります。

では、この①の要件で届出を行う場合は必ず家主居住型になるかと言うと、そうではありません。ポイントは、お客さんを宿泊させている間に、自分が不在となるかどうかです。

住宅宿泊事業法第十一条では住宅宿泊管理業務の委託について定められており、この第二項では以下のように述べられています。

第十一条 住宅宿泊事業者は、次の各号のいずれかに該当するときは、国土交通省令・厚生労働省令で定めるところにより、当該届出住宅に係る住宅宿泊管理業務を一の住宅宿泊管理業者に委託しなければならない。ただし、住宅宿泊事業者が住宅宿泊管理業者である場合において、当該住宅宿泊事業者が自ら当該届出住宅に係る住宅宿泊管理業務を行うときは、この限りでない。
(中略)
 届出住宅に人を宿泊させる間、不在(一時的なものとして国土交通省令・厚生労働省令で定めるものを除く。)となるとき(住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する住宅と届出住宅との距離その他の事情を勘案し、住宅宿泊管理業務を住宅宿泊管理業者に委託しなくてもその適切な実施に支障を生ずるおそれがないと認められる場合として国土交通省令・厚生労働省令で定めるときを除く。)。

住宅宿泊事業法 第十一条より

要するにお客さんを宿泊させるときに不在になる場合は住宅宿泊管理業者へ管理を委託しなければならないよ、と言っています。

この「不在」について、住宅宿泊事業法施行規則第九条で次のように述べられています。

第九条 法第十一条第一項の規定による委託は、次に定めるところにより行わなければならない。
 届出住宅に係る住宅宿泊管理業務の全部を契約により委託すること。
 委託しようとする住宅宿泊管理業者に対し、あらかじめ、法第三条第二項の届出書及び同条第三項の書類の内容を通知すること。
 法第十一条第一項第一号の国土交通省令・厚生労働省令で定める居室の数は、五とする。
 法第十一条第一項第二号の国土交通省令・厚生労働省令で定めるものは、日常生活を営む上で通常行われる行為に要する時間の範囲内の不在とする。
(以下略)

住宅宿泊事業法施行規則 第九条

第九条第3項にある通り、日常生活を営む上で通常行われる行為に要する時間の範囲内の不在と定められています。では、具体的にどの程度まで許容とされるのでしょうか。

これについては住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)の⑺ 住宅宿泊管理業務の委託で以下のように述べられています。

③ 一時的な不在に関する考え方について
・ 国・厚規則第9条第3項に規定する「日常生活を営む上で通常行われる行為」と
は、生活必需品の購入等を想定したものであり、業務等により継続的に長時間不在
とするものは該当しない。
・ 国・厚規則第9条第3項に規定する「日常生活を営む上で通常行われる行為に要
する時間」とは、届出住宅が所在する地域の事情等を勘案する必要があるため、一
概に定めることは適当ではないが、原則1時間とする。ただし、生活必需品を購入
するための最寄り店舗の位置や交通手段の状況等により当該行為が長時間にわたる
ことが想定される場合には、2時間程度までの範囲とする。

住宅宿泊事業法施行要領より

つまり、原則1時間、場合によっては2時間程度までが許容される「一時的な不在」の範囲です。この範囲内の不在に納められる場合は家主居住型、これを超える不在がある場合には家主不在型となります。

①現に人の生活の本拠として使用されている家屋→お客さん宿泊時に概ね1時間~2時間以上不在にならない場合は家主居住型、それ以外は家主不在型
②入居者の募集が行われている家屋→家主不在型
③随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋→家主不在型

家主居住型を選ぶメリットとデメリット

家主居住型の定義が分かったところで、家主居住型と家主不在型のそれぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。

家主居住型のメリット

運営コストが安く済む

家主居住型の場合、管理業者への委託は必要なく、運営のすべてを自分で行うことができるのでコスト面のメリットが大きいです。管理業者に委託する場合、契約締結時の初期費用に加え、月額費用がかかってくるので利益を少しでも多く確保したいときにおすすめです。

サービスの差別化を図りやすい

また、自分で運営を行うため、宿泊サービスの提供面での融通も利きやすいでしょう。例えば自分とお客さんで一緒に料理を作って食べるなど、体験的な付加価値の提供が可能であると共に、お客さんとのコミュニケーションが直接行えるため、類似施設との差別化を図りやすいのもメリットの1つです。

家主居住型のデメリット

業務負担が大きい

管理業者に管理業務を委託しない場合、自分で運営管理業務を行うことになります。住宅宿泊事業法では事業者の業務として以下を定めており、煩雑な業務も含まれるため副業等であまり時間を割けない方にとっては負担が大きくなってしまいそうです。

~法第5条から第10条の規定~
・宿泊者の衛生の確保
・宿泊者の安全の確保
・外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性の確保
・宿泊者名簿の備付け等
・周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項の説明
・苦情等への対応

家主不在型のメリットとデメリット

家主居住型の裏返しとなりますが、家主不在型で運営する場合、管理業務を委託するので業務負担が軽減されます。一方、管理委託料としてコストが発生すること、サービス面の差別化が図り辛いことなどはデメリットとして挙げられます。

根拠法令

根拠法令:住宅宿泊事業法

根拠法令:住宅宿泊事業法施行規則

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