民泊のインバウンド需要|都道府県別の外国人比率と宿泊単価

民泊のインバウンド需要|都道府県別の外国人比率と宿泊単価
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民泊の収益シミュレーション(プランメーカー)

民泊・貸別荘で外国人の予約がどれくらい見込めるかを、観光庁の統計で都道府県ごとに確かめる方法をまとめました。外国人の比率は地域によって大きく違い、民泊では全国で57.9%、東京都では85.3%ですが、関東の東京以外では1割未満から3割台です。また、1泊あたりの宿泊費で見ると、外国人の観光客が日本人より多く払っているとは言えません。

結論:インバウンド需要は「地域」と「施設の形」で大きく変わる

観光庁の統計を見ると、外国人の宿泊者の比率には、次のような傾向があります。

  • ホテル・旅館などの宿泊施設全体では、外国人の比率は全国で27.2%(2025年)。東京都55.7%、京都府55.2%、大阪府41.7%に対し、関東の東京以外の県は4〜18%台にとどまる
  • 民泊(住宅宿泊事業)は、宿泊施設全体より外国人の比率が高い。全国で57.9%、東京都で85.3%(2025年度)
  • 観光目的の外国人が1泊あたりに使う宿泊費は、全国籍の平均で約11,357円。日本人の観光の宿泊旅行(約14,208円)を下回る

「外国人向けにすれば高く貸せる」と考える前に、物件のある地域にそもそも外国人が泊まりに来ているか、どの国の人が来ているかを、統計で確かめておくことが大切です。

都道府県別の外国人比率(宿泊施設全体・簡易宿所・民泊)

観光庁の宿泊旅行統計調査(2025年の確定値)と、住宅宿泊事業の宿泊実績(2025年度)をもとに、延べ宿泊者数(宿泊施設全体・簡易宿所)または宿泊者数(民泊)に占める外国人の割合を計算しました。

  • 宿泊施設全体:ホテル・旅館・簡易宿所・会社や団体の宿泊所の合計。旅館業の施設が対象で、民泊(住宅宿泊事業)の届出住宅は含まれません
  • 簡易宿所:宿泊施設全体のうち、宿泊施設のタイプが「簡易宿所」のもの。旅館業の許可を受けた一棟貸しの貸別荘の多くは、この区分に入ります
  • 民泊:住宅宿泊事業法の届出住宅。事業者が2か月ごとに都道府県知事等に出す定期報告(住宅宿泊事業法 第14条)を観光庁が集計したもので、2025年4月〜2026年3月の6回分を合計しました
都道府県宿泊施設全体簡易宿所民泊
全国27.2%23.5%57.9%
北海道28.6%33.4%64.2%
青森県10.7%5.8%47.8%
岩手県8.1%5.1%35.2%
宮城県9.6%16.3%31.9%
秋田県5.0%6.9%39.5%
山形県6.6%3.0%34.5%
福島県3.7%3.7%19.8%
茨城県4.3%1.5%9.7%
栃木県4.3%7.7%16.7%
群馬県4.1%2.6%18.8%
埼玉県5.2%4.5%24.2%
千葉県15.5%3.6%22.6%
東京都55.7%32.0%85.3%
神奈川県18.4%5.6%34.7%
新潟県8.3%3.8%41.7%
富山県9.8%2.6%30.9%
石川県22.5%10.9%32.8%
福井県2.8%0.6%19.3%
山梨県27.7%37.6%39.7%
長野県13.2%9.7%42.0%
岐阜県24.6%26.4%30.4%
静岡県9.9%3.6%28.8%
愛知県21.4%9.1%53.2%
三重県4.1%3.4%14.0%
滋賀県6.4%1.5%22.2%
京都府55.2%68.8%78.7%
大阪府41.7%21.5%53.1%
兵庫県12.1%2.8%27.1%
奈良県16.4%4.9%33.5%
和歌山県17.7%9.5%6.4%
鳥取県7.9%9.4%37.4%
島根県3.3%4.7%12.0%
岡山県11.6%6.2%34.4%
広島県18.2%12.1%37.0%
山口県4.4%3.4%14.2%
徳島県8.6%15.1%34.2%
香川県22.9%27.1%38.5%
愛媛県13.3%12.3%36.7%
高知県5.0%1.8%29.1%
福岡県33.0%29.8%61.9%
佐賀県10.7%7.6%45.9%
長崎県10.0%32.7%32.3%
熊本県20.9%22.5%52.7%
大分県18.3%21.6%53.9%
宮崎県6.8%25.1%29.7%
鹿児島県8.4%5.8%30.4%
沖縄県27.2%11.7%43.4%
外国人の比率(宿泊施設全体・簡易宿所は2025年の延べ宿泊者数、民泊は2025年度の宿泊者数から計算)

表の読み方

関東では、東京都が宿泊施設全体で55.7%、民泊で85.3%と突出しています。一方、千葉県は宿泊施設全体15.5%、簡易宿所3.6%、民泊22.6%、神奈川県は18.4%・5.6%・34.7%で、同じ県の中でも施設の形によって比率が大きく違います。

地方でも、山梨県(簡易宿所37.6%)、北海道(同33.4%)、長崎県(同32.7%)、岐阜県(同26.4%)のように、簡易宿所の外国人の比率が高い県があります。いずれも、海外で知られた観光地を抱える県です。

数字を見るときの注意

  • 民泊の値は住宅宿泊事業の届出住宅だけの集計で、特区民泊は含みません。大阪市の民泊の多くは特区民泊のため、大阪府の民泊の値は府内の民泊全体を表しません
  • 宿泊施設全体・簡易宿所は「延べ宿泊者数」(1人が2泊すると2人泊)、民泊は「宿泊者数」(泊数に関係なく1人)で計算しています。連泊の多い外国人の比率は、延べ宿泊者数で計算するほうが高めに出ます
  • 県の値は、県内の観光地と、そうでない地域をまとめた平均です。物件のある市町村や観光地の近くかどうかで、実際の比率は変わります

民泊に泊まる外国人の国籍と泊数

同じ住宅宿泊事業の宿泊実績では、外国人の宿泊者の国籍の内訳も公表されています(住宅宿泊事業法施行規則 第12条で、国籍別の宿泊者数が報告事項になっています)。直近の2026年4〜5月分では、米国15.2%、韓国11.2%、台湾9.3%、中国6.1%、オーストラリア5.1%の順で、地域別では東アジア31.5%、北米18.2%、欧州14.7%でした。

都道府県宿泊者数外国人の比率1人あたりの泊数
全国3,418,165人57.9%2.7泊
東京都1,174,263人85.3%3.9泊
京都府110,374人78.7%2.8泊
北海道412,348人64.2%2.6泊
福岡県146,568人61.9%2.2泊
沖縄県111,795人43.4%2.4泊
大阪府136,561人53.1%2.3泊
神奈川県125,025人34.7%1.9泊
千葉県114,046人22.6%1.8泊
埼玉県40,534人24.2%2.2泊
山梨県52,901人39.7%1.6泊
栃木県46,830人16.7%1.4泊
群馬県25,884人18.8%1.7泊
茨城県32,181人9.7%1.3泊
民泊(住宅宿泊事業)の宿泊者数・外国人の比率・1人あたりの泊数(2025年度。1人あたりの泊数は延べ宿泊者数÷宿泊者数)

東京都は1人あたり3.9泊と、ほかの県より滞在が長く、外国人の比率の高さと重なります。実務上も、外国人客は日本人客より連泊が多い傾向があり、一棟貸しの施設では宿泊者の半分程度を外国人客が占めることもあります。連泊が増えると、1泊ごとの清掃やリネン交換の回数が減る一方で、滞在中のごみの量や問い合わせへの対応が増えます。

国籍別の宿泊費と、1泊あたりの目安

観光庁のインバウンド消費動向調査(2025年 暦年・確報)では、日本に来た外国人が1回の旅行で使った宿泊費と、日本での平均泊数が国籍ごとに公表されています。宿泊費を平均泊数で割ると、1人1泊あたりの目安が出せます。ここでは、民泊・貸別荘の利用が多い観光・レジャー目的の旅行者の値を使いました。

国籍・地域宿泊費(1人1回あたり)平均泊数1人1泊あたりの目安
全国籍・地域の平均80,712円7.1泊約11,357円
英国202,648円12.8泊約15,803円
米国151,033円10.7泊約14,069円
シンガポール118,557円9.0泊約13,138円
ロシア140,723円10.7泊約13,133円
香港75,072円6.0泊約12,609円
オーストラリア166,240円13.2泊約12,609円
ドイツ189,714円15.2泊約12,453円
インド122,111円10.0泊約12,245円
スペイン158,346円13.1泊約12,071円
タイ64,701円5.9泊約10,996円
カナダ134,921円12.5泊約10,806円
イタリア143,457円13.4泊約10,746円
中国68,632円6.4泊約10,690円
ベトナム68,537円6.6泊約10,389円
台湾57,563円5.6泊約10,367円
韓国35,152円3.4泊約10,227円
マレーシア77,608円7.6泊約10,147円
フランス160,974円16.5泊約9,736円
フィリピン68,264円7.9泊約8,659円
インドネシア72,913円8.6泊約8,518円
(参考)日本人の国内の観光旅行24,153円1.7泊約14,208円
観光・レジャー目的の外国人の宿泊費と平均泊数(インバウンド消費動向調査 2025年 参考10・参考7から計算。日本人は旅行・観光消費動向調査 2025年の国内宿泊旅行・観光・レクリエーション)

「外国人なら高く取れる」とは言えない理由

1回の旅行の宿泊費では、英国が202,648円と、日本人の観光旅行(24,153円)の8倍を超えます。ただ、これは平均12.8泊の滞在の合計です。1泊あたりに直すと、英国は約15,803円、全国籍の平均は約11,357円で、日本人の観光旅行の約14,208円と大きな差はなく、平均ではむしろ下回ります。

外国人の旅行で大きいのは「1泊の単価」より「泊数」です。インバウンドを狙う意味は、単価を上げることより、連泊で稼働の日数を埋めやすいことにあると考えるほうが、実態に合っています。

この数字を使うときの注意

  • 平均泊数は日本での滞在全体の泊数で、知人の家に泊まった日なども含みます。そのため、1泊あたりの目安は実際の宿泊料金より低めに出ます
  • 統計は「1人あたり」の値です。一棟貸しの料金は「1棟あたり」なので、人数を掛けても料金の目安にはなりません
  • 観光目的に限らない全旅行者の平均は約8,829円(平均9.5泊)です。留学や長期の業務の滞在が含まれると、1泊あたりは下がります
  • インバウンド消費動向調査は2025年から調査の方法が変わっているため、2024年以前の「訪日外国人消費動向調査」の値とは、そのまま比べられません

統計を物件選びと価格設定にどう使うか

統計で分かるのは「その地域に外国人が泊まりに来ているか」「どの国の人が多いか」までです。料金や稼働率は、物件ごとの条件で決まります。

  • 物件選び:県の平均より、海外で知られた観光地や、空港・主要駅からの距離のほうが効きます。県の比率が低くても、観光地の近くなら外国人の予約が入ることはあります。逆に、県の比率が高くても、観光地から離れていれば期待しにくくなります
  • 価格設定:基準の料金は、投資額を何年で回収するかから逆算して決め、そのうえで近くの競合の料金と比べます。実務では、年間をいくつかの料金の段階に分けて1日ずつ割り当てる方法がとられ、最高と最低の料金の差が1.5倍弱程度のこともあります
  • 国籍:多い国籍が分かれば、案内の言語や、予約サイトの選び方の目安になります

収支の試算では、外国人の比率の高さを、そのまま高い単価や高い稼働率として置かないようにします。

稼働率と費用の置き方・試算例

海外からの予約を受けるには

海外からの予約は、ほとんどが予約サイト(OTA)経由です。実務上、海外からの予約はBooking.com経由が多くなりやすく、予約サイトの手数料は売上の15%程度を見込んでおきます。

また、住宅宿泊事業の届出住宅だと掲載できない予約サイトもあります。旅館業の許可か民泊の届出かで、使える予約サイトが変わることがあるので、掲載したいサイトの条件は、営業の形を決める前に確かめておきます。

一棟貸しで使われる予約サイトの比較

外国人の宿泊者を受け入れるときの義務

外国人の宿泊者を受け入れるときは、宿泊者名簿と外国語での案内について、法令やガイドラインで決められたことがあります。

宿泊者名簿:国籍と旅券番号を記載し、旅券の写しを保存する

住宅宿泊事業者は、国土交通省令・厚生労働省令で定めるところにより届出住宅その他の国土交通省令・厚生労働省令で定める場所に宿泊者名簿を備え、これに宿泊者の氏名、住所、職業その他の国土交通省令・厚生労働省令で定める事項を記載し、都道府県知事の要求があったときは、これを提出しなければならない。

住宅宿泊事業法 第8条第1項

記載する事項は、宿泊者の氏名・住所・職業・宿泊日です。宿泊者が日本国内に住所を持たない外国人のときは、国籍と旅券番号も記載し、名簿は作成の日から3年間保存します(住宅宿泊事業法施行規則 第7条)。

さらに、住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)では、日本国内に住所を持たない外国人の宿泊者には旅券の呈示を求め、旅券の写しを宿泊者名簿とともに保存するよう求めています。宿泊者が呈示を拒んだときは、国の指導によるものであることを説明して重ねて求め、それでも拒む場合は最寄りの警察署に連絡するなどの対応をとります。

本人確認は、宿泊の開始までに、宿泊者一人ひとりについて行います。対面でなくてもよいのですが、その場合は、宿泊者の顔と旅券が画像ではっきり確認でき、その画像が届出住宅の中やその近くなどから送られていることを確認できる方法(届出住宅に置いたタブレットなど)で行う必要があります。

旅館業の許可を受けた施設でも、宿泊者名簿の備付けは義務で(旅館業法 第6条)、日本国内に住所を持たない外国人については国籍と旅券番号を記載します(旅館業法施行規則 第4条の2)。旅券の写しの扱いなど細かな運用は、許可を受ける保健所の指導を確認します。

外国語での案内(民泊の場合)

住宅宿泊事業者は、外国人観光旅客である宿泊者に対し、届出住宅の設備の使用方法に関する外国語を用いた案内、移動のための交通手段に関する外国語を用いた情報提供その他の外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性の確保を図るために必要な措置であって国土交通省令で定めるものを講じなければならない。

住宅宿泊事業法 第7条

具体的には、外国語で、①設備の使い方の案内、②移動のための交通手段の情報、③火災・地震などの災害のときの通報連絡先の案内をします(国土交通省関係住宅宿泊事業法施行規則 第2条)。③の通報連絡先は、消防署、警察署、医療機関、住宅宿泊管理業者への連絡方法のことです(ガイドライン)。

実務でつまずきやすい点

  • セルフチェックインにしたのに、本人確認の方法がガイドラインの条件を満たしていない(顔と旅券を画像で確認できない、送られてきた場所が確かめられない)
  • 同行者の分の名簿や旅券の写しが取れていない。名簿は宿泊者一人ひとりについて必要です
  • 外国語の案内が設備の使い方だけで、災害のときの通報連絡先が抜けている

よくある質問

関東の郊外でも、外国人の予約は取れますか?

取れることはありますが、県の平均で見ると東京都とは大きな差があります。民泊の外国人の比率は、神奈川県34.7%、埼玉県24.2%、千葉県22.6%、栃木県16.7%、群馬県18.8%、茨城県9.7%です(2025年度)。外国人の予約を見込むなら、海外で知られた観光地や、空港・都心からの移動のしやすさを、物件ごとに確かめます。

外国人向けにすると、料金を上げられますか?

統計を見る限り、外国人の観光客が1泊あたりに使う宿泊費は、平均で日本人の観光旅行より低く(約11,357円と約14,208円)、外国人だから高く取れるとは言えません。インバウンドの強みは、連泊で稼働の日数を埋めやすいことにあります。料金は、競合の料金と、物件の広さ・設備で決めます。

民泊と旅館業(簡易宿所)で、外国人の比率は違いますか?

全国では、民泊が57.9%、簡易宿所が23.5%で、民泊のほうが高くなっています(計算に使う人数の数え方が違う点には注意してください)。民泊は東京都に届出住宅が集中していて、東京都の民泊の外国人の比率が85.3%と高いことが、全国の値を押し上げています。

旅館業・民泊新法・特区民泊の違いと選び方

まとめ

  • 外国人の比率は地域差が大きい。宿泊施設全体では全国27.2%、東京都55.7%、京都府55.2%で、関東の東京以外は4〜18%台
  • 民泊は宿泊施設全体より外国人の比率が高く、全国57.9%、東京都85.3%(2025年度)
  • 観光目的の外国人の1泊あたりの宿泊費は、平均で約11,357円。日本人の観光旅行(約14,208円)より高いとは言えない。インバウンドの強みは単価より連泊
  • 統計は地域の傾向をつかむために使い、料金や稼働率は物件ごとの条件と競合の料金で決める
  • 外国人の宿泊者には、宿泊者名簿への国籍・旅券番号の記載、旅券の写しの保存、外国語での案内(民泊)が必要

参考資料

統計の数値は2026年10月21日時点で公表されているものを使い、比率と1泊あたりの目安は公表値から計算しました。法令・制度の情報は2026年10月時点で確認したものです。