
この記事では、千葉県松戸市で住宅宿泊事業(民泊)を始めるための手続きや必要書類、注意点をわかりやすく解説します。
千葉県松戸市は東京都心から電車で約30分という好立地にありながら、住宅街としての落ち着きも兼ね備えた魅力的なエリアです。近年、東京観光の宿泊拠点として、また本土寺(通称アジサイ寺)や戸定邸などの地域観光資源を訪れる旅行者の受け皿として、民泊需要が高まっています。
松戸市で民泊を開業するメリット

都心へのアクセスが抜群
松戸市の最大の魅力は、東京都心へのアクセスの良さです。JR常磐線や千代田線、新京成線などの複数の路線が利用でき、松戸駅から東京駅まで約30分、上野駅まではわずか20分程度という好立地。東京観光を目的とする旅行者にとって、宿泊費を抑えながら都心へアクセスできる拠点として高いニーズがあります。
地域観光資源の充実
松戸市には独自の観光資源も豊富です。本土寺は「アジサイ寺」として親しまれ、6月には約1万株のアジサイが咲き誇り、多くの観光客が訪れます。また、旧徳川家の別邸である戸定邸(国指定重要文化財)、野菊の墓文学碑、江戸時代から続く「矢切の渡し」など、歴史と文化を感じられるスポットが点在しています。
ビジネス需要も見込める
松戸市にはマツモトキヨシやマブチモーターなど大手企業の本社があり、ビジネス出張者の宿泊需要も安定的に存在します。松戸駅周辺には商業施設「アトレ松戸」もあり、利便性の高さが民泊運営の大きなアドバンテージとなります。
住宅街としての安全性
松戸市は人口約50万人の中核都市でありながら、住宅街としての落ち着いた雰囲気を保っています。ファミリー層や長期滞在のゲストにも安心して利用してもらえる環境が整っており、リピーター獲得にもつながりやすい地域です。
松戸市の民泊開業の基本:住宅宿泊事業法とは
住宅宿泊事業法の概要
住宅宿泊事業法(民泊新法)は、2018年6月に施行された法律で、一定のルールのもと、住宅を宿泊施設として提供することを認める制度です。事業者が生活の本拠としている住宅等を提供し、宿泊料を受けて人を宿泊させるサービスを「住宅宿泊事業」と定義しています。
年間提供日数の制限
住宅宿泊事業法における最大の特徴は、年間提供日数が180日以内に制限されていることです。これを超えて営業する場合は、旅館業法に基づく許可が必要となりますので注意が必要です。180日のカウント方法は、正午から翌日正午までを1日として計算します。
住宅の定義
民泊として提供できる「住宅」とは、台所、浴室、トイレ、洗面設備などの生活設備が備わっており、現に人の生活の本拠として使用されている家屋、または入居者の募集が行われている家屋を指します。空き家でも一定の条件を満たせば民泊として利用可能です。
家主居住型と家主不在型
民泊には「家主居住型」と「家主不在型」があります。家主居住型は事業者が宿泊者と同じ住宅内に居住するタイプ、家主不在型は事業者が不在のタイプです。家主不在型の場合、住宅宿泊管理業者へ管理業務を委託することが義務付けられています。
松戸市での届出の流れ(ステップ別解説)

ステップ1:事前準備と確認事項
まず、民泊を予定している物件が松戸市内のどの地域にあるか確認します。住居専用地域でも営業は可能ですが、地区計画等で営業が禁止されている場合があるため、必ず松戸市の都市計画法担当部署へ事前に確認してください。
分譲マンションで民泊を行う場合は、管理規約で民泊が禁止されていないか必ず確認が必要です。賃貸物件の場合は、賃貸人(オーナー)から民泊事業を行うことの承諾を得る必要があります。
ステップ2:消防法令への適合
民泊施設は消防法令の規制を受けます。所在地を管轄する消防署に相談し、必要な消防設備(消火器、誘導灯、火災警報器など)を設置してください。特に家主不在型の場合は、非常用照明器具等の追加措置が必要になる場合があります。
消防法令に適合していることを証明する「消防法令適合通知書」は、届出の必須添付書類となりますので、早めに準備を進めましょう。
ステップ3:民泊制度運営システムでの届出
松戸市での民泊届出は、原則として国の「民泊制度運営システム」を利用してオンラインで行います。システム上でアカウントを作成し、必要事項を入力、必要書類をアップロードします。
届出に必要な主な書類は以下の通りです。
- 届出書(システム上で作成)
- 住宅の図面(各階平面図、設備の配置等)
- 住宅の登記事項証明書
- 誓約書(様式A:法人用、様式B:個人用)
- 消防法令適合通知書
- 賃貸物件の場合:賃貸人の承諾書
- 分譲マンションの場合:管理規約等の写し
- 破産手続き開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しない旨の市町村長の証明書
ステップ4:書類の審査と受理
千葉県では、届出書類に不備が多い場合、審査に時間がかかる場合があります。千葉県の公式情報でも「届出受理までに時間がかかる場合があります。余裕をもって届出をしてください」と明記されていますので、開業予定日の少なくとも1〜2ヶ月前には届出を行うことをおすすめします。
提出書類に不備がないよう、千葉県が公開している「住宅宿泊事業(民泊)の手続」を必ず確認し、チェックリストに沿って準備しましょう。
ステップ5:標識の掲示と営業開始
届出が受理されたら、届出番号が記載された標識を、公衆の見やすい場所(玄関や門扉など、地上1.2m〜1.8mの高さ)に掲示します。標識は風雨に耐えられるようラミネート加工などを施してください。
標識掲示後、いよいよ営業開始となります。ただし、年間180日以内の営業日数制限は厳守してください。
松戸市独自のルール・条例

千葉県の届出・管理体制
松戸市は中核市ではないため、民泊の届出窓口は千葉県(健康福祉部衛生指導課)となります。千葉県では、届出情報を適切に管理し、必要に応じて警察機関、消防機関、市町村等に情報提供を行う体制を取っています。
ごみ処理に関する注意
住宅宿泊事業によって発生したごみは、事業者が責任をもって処理する必要があります。家庭ごみとして一般のごみ集積所に出すことはできません。必ず松戸市の廃棄物担当部署に確認し、事業系ごみとして適切に処理する手続きを行ってください。
宿泊者がごみをごみ集積所に捨てることがないよう、チェックイン時に説明を徹底することも事業者の責務です。
近隣住民への配慮
千葉県では、宿泊者の行動に対する周辺住民からの苦情が多くなっているとして、事業者に対して近隣トラブル防止の徹底を求めています。特に以下の点について、宿泊者への説明を義務付けています。
- 大声での会話、野外での宴会等騒音防止への配慮
- ごみ出しルールの遵守
- 火災予防(ガスコンロ等の使用方法、消火器の使用方法)
- 周辺地域の生活環境への配慮
外国人宿泊者の場合は、その方が理解できる言語で説明する必要があります。
苦情対応体制の整備
周辺住民からの苦情や問い合わせに対して、適切かつ迅速に対応する体制を整えることが求められています。県や保健所から連絡があった場合は、現場確認への立ち会いを求められることもあります。
必要書類チェックリスト

基本書類
- 住宅宿泊事業届出書(民泊制度運営システムで作成)
- 住宅の図面(各階平面図、間取り、設備配置)
- 住宅の登記事項証明書(法務局で取得)
- 住宅が「入居者の募集が行われている家屋」に該当する場合の疎明書類
誓約書類
- 誓約書(様式A:法人用、または様式B:個人用)
- 破産手続き開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しない旨の市町村長の証明書
- 外国籍の方の場合:宣誓供述書(公証役場での認証が必要)
消防関係書類
- 消防法令適合通知書(所轄消防署で取得)
物件の権利関係書類
- 賃貸物件の場合:賃貸人の承諾書
- 分譲マンションの場合:管理規約の写し、または管理組合の承諾書(様式C)
- 転貸の場合:転貸承諾書
家主不在型の場合の追加書類
- 住宅宿泊管理業者への管理委託契約書の写し
- 管理業者の登録番号の確認書類
その他
- 法人の場合:法人登記事項証明書
- 欠格事由に該当しないことの誓約書
千葉県では書類不備が多いと受理が遅れるため、提出前に必ず「住宅宿泊事業(民泊)の手続」PDFで最新の要件を確認してください。
担当窓口・問い合わせ先
民泊届出の主管部署
千葉県健康福祉部衛生指導課 生活衛生推進班
民泊制度に関する一般相談
民泊制度コールセンター(国運営)
※民泊制度運営システムの操作方法、制度全般の質問はこちら
消防法令関係
松戸市消防局または所轄の消防署
施設の所在地を管轄する消防署に、消防法令適合通知書の取得について相談してください。
都市計画・建築関係
松戸市 都市計画課
地区計画や用途地域での営業可否について確認が必要です。
ごみ処理関係
松戸市 環境業務課
事業系ごみの処理方法について相談してください。
オンライン届出システム
民泊制度運営システム
URL:https://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/(観光庁民泊制度ポータルサイトからアクセス)
届出、変更届、定期報告などはすべてこのシステムから行います。
松戸市の民泊市場データ

競合状況の分析
松戸市は東京都心への通勤圏であり、ホテルや旅館などの宿泊施設は限られています。そのため、民泊は都心の高額な宿泊施設の代替として、また地域観光の拠点として需要が見込めます。特に本土寺のアジサイシーズン(6月)や、東京でのイベント開催時期には高い稼働率が期待できます。
ターゲット層
松戸市の民泊における主なターゲット層は以下の通りです。
- 東京観光客:宿泊費を抑えたい個人旅行者、グループ旅行者
- ビジネス出張者:マツモトキヨシ、マブチモーター等への出張者
- 地域観光客:本土寺、戸定邸などを訪れる国内外の観光客
- 長期滞在者:東京での仕事やイベント参加で1週間以上滞在する方
収益性の見込み
松戸市の民泊は、東京23区内と比較すると宿泊料金相場は低めですが、その分稼働率を高めやすいメリットがあります。1泊3,000円〜6,000円程度の価格設定で、年間180日の上限を有効活用すれば、安定した副収入が期待できます。
よくある質問(FAQ)
Q. 松戸市で民泊を始める場合、届出先は松戸市役所ですか?
A. いいえ、届出先は千葉県(健康福祉部衛生指導課)となります。松戸市役所ではなく、千葉県の窓口に届出を行ってください。ただし、都市計画やごみ処理などについては松戸市の担当部署への確認が必要です。
Q. 松戸駅周辺のマンションで民泊を開業したいのですが、どのような点に注意すべきですか?
A. 松戸駅周辺は商業地域が多く、利便性が高い反面、分譲マンションも多い地域です。まず管理規約で民泊が禁止されていないか必ず確認してください。また、近隣住民への配慮が特に重要です。騒音対策、ごみ処理ルールの徹底、宿泊者への丁寧な説明を心がけましょう。駅近物件は需要が高い分、トラブル防止の意識も高く持つ必要があります。
Q. 家主不在型で民泊を運営する場合、必ず管理業者に委託しなければなりませんか?
A. はい、家主不在型の場合は、住宅宿泊管理業者への管理委託が法律で義務付けられています。管理業者は国土交通省に登録された業者でなければなりません。民泊制度ポータルサイトで登録業者を検索できますので、信頼できる業者を選定してください。管理委託契約書の写しは届出時の必須書類です。
Q. 届出後、定期報告はどのように行いますか?
A. 住宅宿泊事業者は、2ヶ月ごとに宿泊実績を千葉県知事に報告する義務があります。報告は民泊制度運営システムを通じてオンラインで行います。
