【2023年最新】関東周辺都道府県の民泊の稼働率が高い地域はどこ?

このページでわかること
・茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨、静岡、長野の2023年2月~2024年1月の民泊の稼働率の推移

2024年3月時点で、住宅宿泊事業法に基づく届出を行っている民泊施設は23,142件と発表されています。(住宅宿泊事業法に基づく届出及び登録の状況一覧/民泊制度ポータルサイトより)

民泊施設の宿泊実績は2ヶ月毎に公表されており、その数値から都道府県ごとの稼働率やインバウンド需要を読み取ることができます。

そこでこのページでは、関東周辺都道府県の2023年の稼働率をまとめました。

民泊を開業してどれくらい収益が見込めるかについてはこちら

宿泊業界における重要指標「稼動率」とは?

宿泊業界においては営業実績を示す指標として「稼働率」が用いられます。稼動率には「客室稼働率」と「定員稼働率」の2種類があり、それぞれ意味合いが異なります。

客室稼働率

一定期間における、総客室数に対する利用客室数の割合。

例えば、2名定員の部屋を10室有するホテルのある日の宿泊室数が5室の場合、客室稼働率は【5÷10=0.5】で50%となります。

定員稼働率

一定期間における、総収容人数に対する延べ宿泊人数の割合。

例えば、2名定員の部屋を10室有するホテルのある日の宿泊室数が5室・利用客数が8名の場合、定員稼働率は【8÷20=0.4】で40%となります。

どちらの指標を使う?

客室稼働率・定員稼働率のどちらを利用したほうがより営業成績を把握できるかは、宿泊施設の営業形態によります。

例えば上記のように定員人数が複数名の部屋を主に有するホテルで、料金形態も人数課金制(1室あたりでなく1名あたりの料金)の場合、定員稼働率の指標の方がより売上に近い数値になります。一方、一棟貸しのコテージなどで何名宿泊しても同一料金といった料金形態を採用している場合、客室稼働率の方が売上を把握しやすい数値になります。

民泊の場合は?

民泊においても人数課金制を用いるか、棟貸し料金とするかは施設によって異なるところです。目指す売上やターゲット層によってどちらを採用した方がよいかも変わります。

民泊制度ポータルサイトにて公表されている数値から算出できるのは客室稼働率の為、本記事では客室稼働率を集計してまとめています。

客室稼働率の算出方法

民泊ポータルサイトで公表されている「住宅宿泊事業の宿泊実績について」における都道府県ごとの宿泊日数を元に集計しました。

民泊ポータルサイトで発表されている数値は2ヶ月ごとのデータです。宿泊日数の数値は2ヶ月間、つまり約60日間の平均宿泊日数ということになります。

住宅宿泊事業における民泊は年間の宿泊日数が180日間までという制約があります。そのため、宿泊日数を60で割るだけでは純粋な稼働率を算出することができません。

年間180日間の宿泊日数上限を加味した数値を算出するため、

宿泊日数の実績÷2ヶ月間の合計日数×(365÷180)

という式で客室稼働率を算出しました。

民泊の客室稼働率

関東周辺の10都道府県において、2023年2月~2024年1月の客室稼働率をまとめました。

また、当期間における客室稼働率の平均は以下の通りです。

茨城栃木群馬埼玉千葉東京神奈川山梨静岡長野平均
29.043.935.134.446.262.744.039.433.627.439.6
各都道府県の期間平均値(%)

東京

東京の客室稼働率は季節を問わず60%~70%の間で極めて高い水準で推移しています。

国籍別宿泊内訳をみると、東京の外国人の宿泊者数は極めて多く、インバウンド需要が大きく影響していると考えられます。

栃木・千葉・神奈川

栃木、千葉、神奈川の客室稼働率は関東周辺では東京に次いで高く、両県とも40%~50%程度で推移しています。

栃木は2023年夏の観光シーズンにおいては60%超と東京の稼働率に匹敵するほどの数値となっています。

群馬・山梨・静岡

群馬・山梨・静岡は繁閑の差が顕著です。好調な時で50%程度の稼働率になりますが、低い時で30%を下回ります。

各県とも冬場の宿泊旅行需要が落ち込むエリアで、民泊も例に漏れず安定的な集客が難しいです。

埼玉

埼玉の客室稼働率は30%~40%程度で推移しています。埼玉自体の観光需要が他県に比べて低いため、レジャーシーズンでも稼働率が高くなることはありません。

一方で、安定的な稼働を維持しており、大きく稼働率が落ち込む時期はありません。埼玉は東京へのアクセスもよく、地方からの東京旅行の宿泊拠点として利用されていることが考えられます。

茨城・長野

茨城・長野の客室稼働率は20%~30%程度で平均よりも低く推移しています。

茨城はもともと宿泊需要があまり見込めない地域のため低いですが、長野に関しては、ホテルや旅館といった別の宿泊形態の施設へ宿泊客が流れていることが考えられます。

平均宿泊日数

使用データ

住宅宿泊事業の宿泊実績(令和5年2-令和5年3月分~令和5年12-令和6年1月分)/民泊制度ポータルサイトより

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