旅行中の消費額、年代によってどんな違いがあるのかデータ集計し傾向をまとめてみた

このページを読んでわかること
・旅行の消費内訳の年代ごとの傾向と直近3年間の推移

皆さんは旅行に出かける際、何に重視してお金を使いますか?

食べ物にお金をかけたい人、レジャーにお金をかけたい人、宿泊費にお金をかけたい人、移動にお金をかけたい人…人によって様々ですが、属性によってある程度の傾向が存在するのも事実です。

例えば、

・20代の人は宿泊費よりも飲食費を重視する傾向にある
・40代は他の年代に比べて交通費の消費割合が少ない

といった、傾向が仮にあるとしたら、民泊や貸別荘など宿泊施設の開業計画においてはターゲッティング価格設定に役立てられると思います。

そこで、本ページでは各年代ごとの観光旅行における消費割合の傾向を集計・分析した結果を紹介します。

※分析に関するコメントはあくまで個人の見解であり、また参考にしている調査結果も限られたものになるため、参考程度に留めていただけますようお願いします。

全年代の傾向

今回利用したデータは、観光庁が3ヶ月に1度実施している旅行・観光消費動向調査の、2021年4月-6月分~2024年1月-3月分の直近3年間の統計結果です。

この統計結果から、各年代が参加費・交通費・宿泊費・飲食費・買物代・娯楽サービス費のうち、何にいくら使っているかの平均値が分かります。これらの金額や、旅行総額に占める割合を算出することで、各年代の傾向を見ていきたいと思います。

※参加費は団体旅行やパックツアーなどの費用です。

年代ごとの旅行消費額内訳

まずは各年代がそれぞれの費目にいくら使っているのかを見ていきましょう。

年代ごとの旅行消費額内訳(3年間平均値)

特徴としては以下が挙げられます。

・年代が上がるにつれて1回あたりの旅行単価はあがっていき、60代で最も高単価になる。
・消費金額帯としては【10代20代】、【30代40代】、【50代60代】、【70代80代】といった階層に分けられる。
・とりわけ宿泊費に注目すると、メイン客層となる30代~60代はほぼ同額の消費額になっており、宿泊費にかける相場金額としての年代による違いはそこまで大きくないといえる。

つまり、旅行消費額総額としては年代が高い方が高単価になりますが、宿泊費という項目に絞ってみた時には年代による違いはそこまで現れないということです。30代以降の比較的金銭面に余裕が出てくる世代以降は、年代が上がるからと言って高額なホテルに宿泊するという顕著な傾向はありません。そのため、高単価を狙うからといって高年代をメインターゲットに絞るような価格設定・ターゲッティングを行うことは裏付けがないように思えます。

過去3年間の旅行消費額推移

次に、全年代の過去3年間の費目の内訳割合の推移を見てみましょう。

特徴としては以下が挙げられます。

・宿泊費が最も高い割合を占めるのは以前変わらない。
・宿泊費の割合はコロナ禍以降減少している傾向にある。
・交通費はコロナ禍以降増加傾向にある。

コロナ禍以降の一番の変化としては、宿泊費割合が減少しているのに対し、交通費割合が増加傾向にあることです。これはコロナ禍が明け、滞在型の旅行から活動型の旅行スタイルに移行している表れと思えます。

年代ごとの旅行消費の内訳割合

では、年齢によって旅行費に占める費目内訳の割合にはどのような違いがあるのかを見ていきましょう。

年代ごとの旅行消費の内訳割合

年代ごとの特徴としては以下になります。

9歳以下宿泊費交通費で6割ほどを占める。宿泊費の割合はコロナ禍以降減少しており、それ以外の費用への消費割合が増加している。
10代修学旅行の影響で参加費が最も多い。また、季節でいうと4月-6月、10月-12月に参加費の割合が高くなり、1-3月、7-9月は参加費の割合が下がり宿泊費と交通費の割合が上がる。コロナ禍以降交通費の割合が増加している。
20代20代はコロナ禍では宿泊費の割合が非常に高かったが、コロナ禍以降は宿泊費と交通費がほぼ同程度の割合であり、他の世代に比べ移動費を重視するアクティブな旅行を好むと思われる。また、他世代よりも飲食費が高く、食への重視度も窺える。
30代20代に比べて宿泊費の割合が上がっており、宿泊費を重視する傾向が見える。コロナ禍以降娯楽費の割合も増えており、主に子育て世代の30代親がレジャー施設などに消費する割合が増えているものと推測される。
40代30代と概ね傾向は変わらない。
50代他の世代よりも宿泊費の割合は低く、特にコロナ禍以降はその割合の低下が顕著。その分参加費娯楽費交通費割合が上がっている。
60代50代よりも宿泊費割合は多い。また、他の年代よりも買物代が多く、お土産などの購入に消費を割く傾向にあると思われる。参加費割合も60代から顕著に増加してくる。コロナ禍以降宿泊費割合は下がっており、交通費割合は上がっているので、移動が活発になってきていると推測される。
70代
80代
60代よりも参加費の割合が更に高くなり、自分であれこれ計画するよりも、団体旅行やパックツアーといった既に旅程の組まれた旅行を好む傾向が強くなっていると思われる。

民泊や貸別荘を営業する場合、パッケージツアーなどの宿泊先として組み込まれることはまず考えられないため、参加費の割合が高い世代をメインターゲットにするべきではないように思われます。

使用したデータ

旅行・観光消費動向調査(2021年4月~2024年3月までの3年分)

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