このページでわかること
・許可、届出、認定、認可のそれぞれの違いと意味
何かの申請を行政にする際、その内容によって「許可」「届出」といった呼称があります。
民泊や貸別荘の営業許可を取得しようとする際にも、「旅館業法の簡易宿所営業の許可を受ける」「国家戦略特別区域法に基づく特区民泊の認定を受ける」「住宅宿泊事業法に基づく民泊の届出を行う」の3種類の方法があります。
それぞれ民泊や貸別荘の営業を認めるものであることは変わりないですが、「一般的に届出より許可の方がハードルが高い」と言われます。一体どのような違いがあるのでしょうか。
許可
許可とは、本来であれば個人の自由である行為を、公共の安全や秩序の維持といった公共の福祉の理由から一旦禁止し、個別の申請に基づき認められた場合にのみ禁止を解除する行政行為と言われています。
つまり、それぞれの好きにさせたら無秩序になっちゃう行為は一旦役所の許可制として、許可が下りない限りはやっちゃだめだよ、でも要件を満たしたら許可を出すからそしたらやっていいよ、みたいなイメージです。
「自分の持っている土地なんだから、好き勝手やっていい」という個人の自由を際限なく許してしまうと、街の秩序が保たれなくなったり、第三者へ危害が及ぶ場合もあります。そうしたことを防ぐため、特定の行為については一旦禁止して、申請が認められた時だけやっていいよ、ということが許可の趣旨となります。
旅館業についてはこの許可制となっています。
届出
届出は、法令によって定められた特定の行為について、通知をすることが義務付けられている手続きです。
許可と大きく異なる点は、届出の通知を行うことで手続きは完了するもので、そこに行政機関による「認める」「認めない」といった認否の判断がないことです。
つまり、定められた要件を満たして必要な書類等を提出すれば、その手続きを持って届出自体は完了したことになります。出せばいい、みたいなイメージですね。
「許可より届出の方が簡単」といわれる所以はこの点にあります。民泊は届出制となっています。
認定
特区民泊は認定と定義されていますが、一体許可や届出とは何が違うのでしょうか。
そもそも普通に生きていれば認定なんて言葉は口にすることはおろか耳にすることもあまりないと思いますが、行政の申請用語等でもこの言葉が使われることは多くありません。
特区民泊においての認定は、「本来旅館業法の許可を受けるべき行為を、要件を満たすことで例外的に認める」ということです。特区民泊は宿泊事業を賃貸借契約及びこれに付随する契約に基づき(つまり宿泊契約ではなく)一定期間以上使用させることによって成立する形態です。
宿泊業を行う場合、本来は宿泊契約が必要で、そこには衛生や安全といった宿泊に関わる各種サービスがセットになっているのです。人を宿泊させるということはつまりは宿泊契約を結ぶことで、これには旅館業法または民泊新法の根拠が必要になります。宿泊契約とは、いわゆる家を借りるような「賃貸借契約」とは別物なわけですが、特区民泊の場合、この賃貸借契約によって人を宿泊させるもいいよ、と認めているわけですね。
意味合いとしては「認可」に近いものと解釈できます。
認可
私人の契約を行政機関が補充して認めることで法律行為の効力を有するとするもの。
本来、契約とは当事者が合意していれば成立するもので、国家や行政が干渉する者ではありません。だからといってなんでもかんでも好きに契約させてしまうと、どちらか一方に危害が及ぶ可能性のある危険な契約も可能になってしまいます。そこで、一定の契約行為に関しては行政の認可制とすることで、市民の安全を守るという趣旨といえるでしょう。
認可は申請に必要な要件を満たしていれば、行政側は認可しなければならないとされています。
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