
この記事では、茂原市で民泊を開業するために必要な手続き、届出の流れ、必要書類、注意点を解説します。
千葉県の中央に位置する茂原市は、東京都心から電車で約1時間というアクセスの良さと、豊かな自然環境が魅力の地域です。住宅宿泊事業法(民泊新法)を活用すれば、年間180日を上限に合法的に民泊を運営できます。
茂原市で民泊を開業するメリット

首都圏からのアクセスの良さ
茂原市は、JR外房線で東京駅から約70分、千葉駅から約40分という好立地にあります。この利便性は、都心からの週末旅行者や、千葉県を拠点にした観光客にとって大きな魅力となります。車でも圏央道・茂原長南ICがあり、首都圏からのアクセスが非常に良好です。
観光資源と周辺施設の充実
茂原市は「日本さくら名所100選」に選ばれた茂原公園があり、春には多くの観光客が訪れます。また、茂原七夕まつりは関東屈指の七夕まつりとして知られており、毎年7月下旬には約85万人の来場者を集めます。こうした季節イベント時には宿泊需要が高まり、民泊経営の大きなチャンスとなります。
ビジネス利用の可能性
茂原市は工業団地を有する産業都市でもあり、出張者の宿泊需要も見込めます。ホテルの代替として、家族連れの出張者や長期滞在者をターゲットにした民泊運営も可能です。一般のホテルよりも生活感があり、キッチン付きの物件は特に長期滞在者に人気があります。
競合が少ない環境
都心や観光地と比べて民泊の届出件数が少なく、競合が限られているのも茂原市の魅力です。適切な価格設定とサービス提供ができれば、安定した稼働率を確保しやすい環境と言えるでしょう。
茂原市の民泊開業の基本:住宅宿泊事業法とは
住宅宿泊事業法の概要
住宅宿泊事業法(民泊新法)は、2018年6月15日に施行された法律で、住宅を活用した宿泊サービスを提供する事業を適正に運営するためのルールを定めています。茂原市で民泊を開業する場合は、千葉県知事への届出が必要です。
営業日数の制限
住宅宿泊事業では、年間提供日数が180日以内と定められています。180日を超えて営業する場合は、旅館業法に基づく許可が必要になりますので注意してください。提供日数のカウント方法は、正午から翌日正午までを1日とします。
家主居住型と家主不在型の違い
民泊は「家主居住型」と「家主不在型」に分類されます。家主居住型は、届出住宅に家主が居住しながら宿泊サービスを提供する形態です。家主不在型は、家主が不在の住宅で宿泊サービスを提供する形態で、この場合は住宅宿泊管理業者への委託が義務付けられています。
宿泊者の安全確保義務
事業者には、非常用照明器具の設置、避難経路の確保、火災その他の災害が発生した場合における宿泊者の安全確保のための措置を講じる義務があります。特に家主不在型の場合は、より厳格な安全措置が求められます。
茂原市での届出の流れ(ステップ別解説)

ステップ1:事前準備と情報収集
まず、茂原市役所の都市計画担当部署に、届出予定の物件が民泊営業可能な地域かを確認してください。地区計画等で営業が禁止されている場合があります。分譲マンションの場合は、管理規約で民泊が禁止されていないかも必ず確認しましょう。また、賃貸物件の場合は、賃貸人(大家さん)から民泊営業の承諾を得る必要があります。
ステップ2:消防法令への適合
茂原市を管轄する消防署(長生郡市広域市町村圏組合消防本部)に連絡し、消防法令適合通知書の交付を受けてください。住宅用火災警報器、消火器の設置など、消防法令で定められた設備を整える必要があります。この通知書は届出の必須書類となります。
ステップ3:民泊制度運営システムでアカウント作成
観光庁が運営する「民泊制度運営システム」にアクセスし、アカウントを作成します。届出は原則としてこのオンラインシステムを通じて行います。システム内で本人確認ができない場合でも、書類作成はシステム内で行う必要があります。
ステップ4:必要書類の準備
届出に必要な書類を準備します。住民票、登記事項証明書、建物図面、消防法令適合通知書、誓約書など、多岐にわたる書類が必要です。千葉県では提出書類の不備が多く見られるため、「住宅宿泊事業(民泊)の手続」のPDFを必ず確認し、不備がないよう注意してください。
ステップ5:オンライン届出の実施
民泊制度運営システムから届出を提出します。添付書類はPDF形式でアップロードします。届出受理までに時間がかかる場合がありますので、余裕をもって届出を行ってください。千葉県では書類の確認に時間を要する場合があります。
ステップ6:届出番号の取得と標識の掲示
届出が受理されると、「M」から始まる届出番号が付与されます。この番号を記載した標識を、届出住宅の門扉や玄関など公衆の見やすい場所(地上1.2~1.8m)に掲示する必要があります。標識は風雨に耐えられるようラミネート加工などを施してください。
ステップ7:営業開始と定期報告
届出が受理され、標識を掲示すれば営業を開始できます。営業開始後は、2か月ごとに宿泊実績を千葉県に報告する義務があります。報告は民泊制度運営システムを通じて行います。
茂原市独自のルール・条例

千葉県の統一基準
茂原市は千葉県が管轄しており、千葉県独自の上乗せ条例は現時点では制定されていません。そのため、国の住宅宿泊事業法の基準に従って届出・運営を行うことになります。住居専用地域でも民泊営業は可能ですが、地区計画等で制限されている場合があるため、必ず茂原市役所の都市計画担当部署に確認してください。
ごみ処理に関する注意事項
住宅宿泊事業によって発生したごみは、事業系ごみとして事業者が責任をもって処理する必要があります。家庭ごみとして市のごみ集積所に出すことはできません。茂原市役所の廃棄物担当部署に連絡し、事業系ごみの処理方法について確認してください。適切なごみ処理業者と契約するか、自ら処理施設に持ち込む必要があります。
近隣住民への配慮
千葉県では、宿泊者の行動に対する周辺住民からの苦情が多くなっていると報告されています。事業者は騒音防止、ごみの適正処理、火災予防について宿泊者に十分説明し、近隣トラブルの防止に努める必要があります。外国人宿泊者の場合は、その方が理解できる言語で説明することが求められます。
苦情対応体制の整備
周辺住民から苦情や問い合わせがあった場合、適切かつ迅速に対応する義務があります。家主不在型の場合でも、緊急連絡先を明示し、すぐに対応できる体制を整えておく必要があります。県や保健所から連絡があった場合は、現場確認への立ち合いが求められることがあります。
必要書類チェックリスト

基本的な届出書類
- 住宅宿泊事業届出書
- 住民票(個人の場合)または登記事項証明書(法人の場合)
- 届出者が破産手続き開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しない旨の市町村長の証明書
- 誓約書(様式A:法人用、様式B:個人用)
- 住宅の登記事項証明書
- 住宅が「入居者の募集が行われている家屋」に該当する場合は、入居者募集の広告その他これを証する書類
建物・安全関係の書類
- 住宅の図面(各階平面図、出入口等の配置を明示した図面)
- 消防法令適合通知書(所轄消防署から交付)
- 「民泊の安全措置の手引き」に基づく安全措置の実施を証する書類
- 避難経路を示した図面
権利関係の書類
- 賃借人の場合:転貸承諾書(賃貸人が住宅宿泊事業に使用することを承諾したことを証する書類)
- 分譲マンションの場合:管理規約の写し、または管理組合が民泊を禁止していない旨の誓約書(様式C)
委託する場合の書類
- 家主不在型の場合:住宅宿泊管理業者への委託契約書の写し
外国籍の方の場合
外国籍の方が届出を行う場合、「届出者が破産手続き開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しない旨の市町村の長の証明書」の代わりに、宣誓供述書を日本の公証役場で公証人の認証を受けた書類を提出する必要があります。
書類作成時の注意点
千葉県では届出書類の不備が非常に多く報告されています。書類提出前に必ず全ての書類が揃っているか、記載漏れがないかをチェックしてください。不備があると審査に遅れが生じます。
担当窓口・問い合わせ先
民泊制度に関する一般的な相談
民泊制度コールセンター(国運営)
※住宅宿泊事業法の制度全般、民泊制度運営システムの操作・入力方法、相談、意見、苦情等に対応
千葉県への届出・手続きに関する相談
千葉県健康福祉部衛生指導課 生活衛生推進班
※茂原市の民泊届出は千葉県が窓口となります。届出手続き、必要書類、千葉県独自のルールについてはこちらにお問い合わせください。
都市計画・地区計画に関する相談
茂原市役所 都市計画担当部署
※民泊予定物件が営業可能な地域かどうか、地区計画等での制限の有無について確認してください。
ごみ処理に関する相談
茂原市役所 廃棄物担当部署
※事業系ごみの処理方法、契約すべき処理業者などについて確認してください。
消防法令に関する相談
長生郡市広域市町村圏組合消防本部(茂原市を管轄する消防署)
※消防法令適合通知書の交付、必要な消防設備についてはこちらにお問い合わせください。
その他の相談窓口
飲食提供を予定している場合、露天風呂やサウナを設置する場合は、所轄の保健所(健康福祉センター)への相談が必要です。分譲マンションでの管理規約改正に関する相談は、公益財団法人マンション管理センターに問い合わせることができます。
茂原市の民泊市場データ

届出件数の状況
茂原市の民泊届出件数は、県内の他の主要都市と比べると多くはありません。これは競合が少ない環境を意味しており、新規参入者にとっては有利な状況と言えます。千葉県全体では届出住宅が増加傾向にありますが、茂原市はまだ民泊市場として成長の余地が大きい地域です。
季節による需要変動
茂原市の民泊需要は季節によって大きく変動します。特に茂原七夕まつり(7月下旬)、茂原公園の桜の開花時期(3月下旬~4月上旬)は宿泊需要が急増します。この時期は料金を高めに設定しても予約が入りやすく、年間収益の大きな部分を占める可能性があります。逆に冬季は比較的需要が落ち着くため、価格調整や長期滞在プランの提供などの工夫が必要です。
ターゲット層の分析
茂原市の民泊のターゲット層は主に以下のように分類できます。第一に、首都圏からの週末観光客やイベント参加者。第二に、地元企業への出張者。第三に、外房地域を周遊する国内外の旅行者。第四に、長期滞在を希望するリモートワーカーやワーケーション利用者。それぞれのニーズに合わせた設備やサービスを提供することで、安定した稼働率を確保できます。
周辺地域との連携可能性
茂原市は外房地域の拠点都市として、九十九里浜や勝浦、大多喜町などの観光地へのアクセスが良好です。これらの観光地を訪れる旅行者の宿泊拠点として、茂原市の民泊を位置づけることができます。周辺観光情報を提供したり、レンタカーや観光ツアーの紹介を行うことで、付加価値を高めることが可能です。
今後の市場展望
コロナ禍を経て、旅行スタイルの多様化が進んでいます。ホテルよりもプライベート空間が確保できる民泊へのニーズは今後も増加すると予想されます。特に家族連れやグループ旅行、ペット同伴旅行など、ホテルでは対応しにくいニーズに応えることで、茂原市の民泊市場は成長する可能性があります。
よくある質問(FAQ)
Q. 茂原市で民泊を始める場合、届出先は茂原市役所ですか?
A. いいえ、茂原市の民泊届出は千葉県知事への届出となり、窓口は千葉県健康福祉部衛生指導課です。茂原市役所ではなく、千葉県に対して民泊制度運営システムを通じて届出を行います。ただし、都市計画法に関する確認や事業系ごみの処理については茂原市役所の担当部署に相談する必要があります。
Q. 茂原七夕まつりの期間だけ民泊を営業することは可能ですか?
A. はい、可能です。住宅宿泊事業は年間180日以内であれば、連続して営業する必要はありません。茂原七夕まつりや桜の時期など、需要が高い時期だけ営業することもできます。ただし、届出は通年有効なものとして行い、営業しない期間も2か月ごとの定期報告義務は継続します。イベント期間中は周辺住民への配慮を特に徹底してください。
Q. 家主不在型の民泊を運営する場合、必ず管理業者に委託しなければなりませんか?
A. はい、家主不在型の場合は法律により住宅宿泊管理業者への委託が義務付けられています。家主不在型とは、届出住宅に家主が居住せず、宿泊者だけが利用する形態を指します。管理業者は国土交通大臣の登録を受けた事業者でなければならず、清掃、鍵の受け渡し、苦情対応などの管理業務を委託する必要があります。
Q. 届出が受理されるまでどのくらいの期間がかかりますか?
A. 千葉県では現在、届出書類の不備が多く見られ、書類の確認に時間を要しています。書類に不備がない場合でも数週間から数か月かかることもあります。余裕をもって届出を行い、書類の不備がないようにしてください。
