このページでわかること
・東京周辺の都道府県の各市町村で、どこが宿泊需要が高いのかの予測ランキング
民泊・貸別荘の開業候補地を選定する際、その土地に宿泊ニーズが見込めるかどうかは重要な判断材料になります。
こちらのページでは、その参考情報として各都道府県の発表している観光統計を紹介しました。観光統計では宿泊者数の実績値などが公表されているため、どのエリアの宿泊需要が高いのか把握するのにとても役立ちます。
しかし、この観光統計ですが、都道府県によって公表数値の内容や発表年度が異なっています。これでは、その都道府県内で宿泊需要の見込めるエリア・見込めないエリアという比較はできるものの、複数の都道府県をまたいで横断的に比較することができません。
そこで今回は、首都圏近郊に民泊や貸別荘の開業を検討している方向けに、関東周辺の8県(茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・神奈川・山梨・静岡)が発表している観光統計のデータと、観光庁の発表している各都道府県の宿泊人数のデータを用いて、首都圏近郊で宿泊需要が高いと期待されるエリアを推測しました。市町村別の参考数値と共に記載していますので、参考にしていただけると嬉しいです。
市町村別・宿泊需要ランキング
早速結果を見ていきましょう。こちらの宿泊需要予測値の算出方法については最後に紹介しています。
圧倒的に宿泊需要が高いのは横浜
関東各所からのアクセスもよく、近代的で魅力あふれる街・横浜市が最も需要が高いという結果でした。
山下公園や中華街・横浜コスモワールドや八景島シーパラダイスなど、観光スポットやレジャースポットも多数あります。1日ではとても観光しきれない豊富なお出かけスポットから宿泊地として選ぶ方が多数いると推測されます。
横浜市の発表している横浜市内主要ホテル平均稼働率によると、コロナ禍前で年間平均稼働率86.5%を維持しています。ホテル業界の及第点は70%とされていることからも、この数字は宿泊需要の高さの証と言えるでしょう。
日光市はインバウンド需要も高い
2位の日光市は栃木県内で最も外国人宿泊者数が多い市町村で、インバウンド需要の高さもポイントです。栃木県内の令和4年外国人延べ宿泊者数は23,337人であるのに対し、日光市内は9,638人と約40%を占めています。(令和4年栃木県観光客入込数・宿泊数推定調査結果より)
日光と言えば日光東照宮の他、戦場ヶ原、華厳ノ滝などダイナミックな自然を感じられる観光スポットが魅力です。
5位は宇都宮市
3位以降は箱根、浦安、那須、熱海、伊豆など関東の人気旅行スポットが並ぶ中、個人的に意外なのは宇都宮市の宿泊需要の高さです。
宇都宮と言えば餃子。宇都宮市観光動態調査では、宇都宮市に宿泊した人の6割弱が「餃子を食べるため」と回答したと報告されています。また同調査では日光・那須・鬼怒川といった栃木県内の各観光地を巡る際の旅行宿泊拠点として選択する人が多いと推測されています。
茨城県は宿泊需要が少ない
また、TOP50以内には茨城県の市町村は1つも入っていません。最も数値の高い阿見町でも、横浜の20分の1程度と、宿泊需要はあまり高くないといえるでしょう。
観光庁の旅行・観光動向調査からわかる通り、茨城県は宿泊よりも日帰りの観光需要が高い土地であると言えます。令和4年の結果では、日帰り観光客に関しては山梨県を上回っています。
集計方法
では最後に、これまで紹介してきた数値データをどのように算出したのかを紹介しておきたいと思います。
各都道府県の発表している観光統計では、市町村別の宿泊実績人数を公表している都道府県(栃木・千葉・神奈川・静岡:以下A群とする)と、市町村別の宿泊実績人数を公表していない都道府県(茨城・群馬・埼玉・山梨:以下B群とする)があります。そのため純粋に市町村別の宿泊実績人数を比べることはできません。
一方で、宿泊実績人数を公表していないB群の都道府県も、市町村別の観光客数は公表しています。
宿泊実績人数はわからなくても、市町村毎の宿泊人数が観光客数に比例して増減すると仮定すれば、観光客数からおおよその宿泊需要が割り出せるはずです。
よって、B群については、以下の数値を求めました。
①市町村ごとの観光客数が、県全体の観光客数に占めるそれぞれの割合を求める
②都道府県の宿泊実績人数を①にかけることで、その市町村の宿泊予測人数を求める
この際、都道府県の宿泊実績人数には観光庁が発表している旅行・観光消費動向調査(令和4年)にて発表している数値を用いました。
この数値とA群の市町村別の公表数値を単純に比較すると、宿泊人数の数値根拠が異なってしまいます。(B群は観光庁が発表している宿泊実績人数の数値が根拠となっているが、A群は県が発表している宿泊人数の数値が根拠となり、その算出期間が異なる)また、A群の中でも各都道府県の発表している最新の年度が異なるため、純粋な比較はできません。
この数値根拠を統一すべく、宿泊実績人数を公表している都道府県(栃木・神奈川・千葉・静岡)についても、以下の処理を行いました。
③市町村ごとの宿泊客数が、県全体の宿泊客数に占めるそれぞれの割合で求める
④都道府県の宿泊実績人数を③にかけることで、その市町村の宿泊予測人数を求める
使用データ
・旅行・観光消費動向調査/2022年1~12月期の集計表(確報)/「主目的地別延べ旅行者数ー国内旅行」/宿泊旅行(観光・レクリエーション)人数(観光庁)
・観光客動態調査結果/茨城の観光レクリエーション現況(令和4(2022)年観光客動態調査報告)(茨城県)
・R4(2022)年栃木県観光客入込数・宿泊数推定調査結果(栃木県)
・令和3年(2021年)観光入込客統計調査報告書(群馬県)
・観光入込客統計調査結果について(平成23年以降)/令和4年(年間)(埼玉県)
・令和3年観光客の入込動向について(千葉県)
・令和4年入込観光客調査(神奈川県)
・山梨県観光入込客統計調査結果/令和3年(山梨県)
・令和3年度 静岡県観光交流の動向(静岡県)
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