民泊の居室面積・宿泊室面積とは?届出の「住宅の規模」の測り方

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住宅宿泊事業の届出では、「住宅の規模」として、居室・宿泊室・宿泊者の使用に供する部分(宿泊室を除く)の3つの面積を書きます。3つは含む部屋も測り方(内寸か壁芯か)も違い、定員の上限や、必要な安全措置・消防設備を決める数字にもなります。この記事では、2024年12月に改正された施行要領にもとづいて、それぞれの数え方を計算例で整理します。

結論:3つの面積の違い

届出書には「住宅の規模」を書き(住宅宿泊事業法施行規則 第4条第3項第9号)、添付する図面には、居室・宿泊室・宿泊者の使用に供する部分(宿泊室を除く)のそれぞれの床面積を明示します(同条第4項第1号ト)。3つの面積の意味は、住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)(2024年12月24日最終改正)で次のように示されています。

居室の面積宿泊室の面積宿泊者の使用に供する部分(宿泊室を除く)の面積
意味宿泊者が占有する部分宿泊者が就寝に使う室宿泊者が使う部分のうち、宿泊室以外(家主と共用の部分も含む)
含むもの寝室・リビングのほか、宿泊者が占有する台所・浴室・便所・洗面所・廊下など寝室として使う洋室・和室台所・浴室・便所・洗面所・押入れ・床の間・廊下など
含まないもの押入れ・床の間、宿泊者が占有しない部分押入れ・床の間宿泊室、宿泊者が使わない部分
測り方内寸(壁の内側)壁芯(壁の中心線)壁芯(壁の中心線)
主に関わる基準定員の上限(宿泊者1人あたり3.3㎡以上)安全措置・消防の扱い(家主居住で50㎡以下かどうか)届出書・図面への記載
出典:住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)をもとに作成

3つの面積は、含む部屋だけでなく測り方も違います。居室の面積だけが内寸で、ほかの2つは壁芯です。同じ部屋でも、居室の面積と宿泊室の面積とで数字が変わります。

届出先によっては、図面の上で3つの部分を色分けして示すよう求めています。図面を作る前に、届出先の自治体が公表している記入例を確認しておくと、手戻りを防げます。

届出に必要な書類の一覧

居室の面積:宿泊者が占有する部分を内寸で測る

居室の面積は、宿泊者が占有する部分の面積です。施行要領では次のように定めています。

国・厚規則第1号様式に記載する「居室の面積」とは、宿泊者が占有する面積のことを表す(宿泊者の占有する台所、浴室、便所、洗面所、廊下等であって、押入れや床の間を除く。)。具体的には、簡易宿所の取扱いと同様に算定することとする。なお、内寸面積(壁の内側、実際の壁から壁までの距離を対象とした面積)で算定することとする。

住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン) 2-1.(2)①

2024年12月の改正で、定義の書き方が変わった

改正前の施行要領は、居室の面積について「宿泊者の占有ではない台所、浴室、便所、洗面所、廊下のほか、押入れや床の間は含まない」と書いていました。改正後は「宿泊者の占有する台所、浴室、便所、洗面所、廊下等」を含むと明記されています。

家主不在型の一棟貸しのように、宿泊者が水回りや廊下まで占有する住宅では、それらも居室の面積に入ります。一方、家主居住型で台所や浴室を家主と共用する場合、共用部分は宿泊者が占有していないので、居室の面積には入りません。改正前の説明をもとにした資料や記事も残っているため、日付を確かめて読む必要があります。

居室の面積の例(宿泊者が和室・洋室・LDを占有し、台所・水回り・廊下・玄関を家主と共用する場合)。家主不在型で宿泊者が住宅全体を占有する場合は、台所・水回り・廊下なども含みます

内寸で測る

居室の面積は、壁の内側から内側までの寸法で測る内寸面積です。不動産の販売図面や登記の床面積は、戸建てでは壁芯で示されていることが多く、そのまま書き写すと居室の面積が大きく出てしまいます。

居室の面積で、定員の上限が決まる

住宅宿泊事業者は、居室の床面積に応じて宿泊者の数を制限しなければなりません(住宅宿泊事業法 第5条)。具体的な基準は次のとおりです。

一 居室の床面積は、宿泊者一人当たり三・三平方メートル以上を確保すること。

厚生労働省関係住宅宿泊事業法施行規則 

居室の面積が50㎡なら、50÷3.3=15.1…で、定員の上限は15人です(1人あたり3.3㎡以上を確保するため、端数は切り捨てます)。これはあくまで上限で、実際の定員は寝具の数や、消防・自治体の条例の基準もあわせて決めます。

なお、住宅宿泊管理業者への委託が必要になる「居室の数が5を超える場合」(住宅宿泊事業法 第11条第1項第1号、住宅宿泊事業法施行規則 第9条第2項)は、部屋の数の基準で、面積とは関係ありません。

民泊・貸別荘の定員の決め方

宿泊室の面積:就寝に使う室を壁芯で測る

宿泊室の面積は、宿泊者が寝るために使う室の面積です。

国・厚規則第1号様式に記載する「宿泊室の面積」とは、宿泊者が就寝するために使用する室の面積を表す(宿泊室内にある押入れや床の間は含まない)。なお、面積の算定方法は壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積(建物を真上から見た面積)とする。

住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン) 2-1.(2)①

壁芯面積は、壁や柱の中心線で囲んだ面積です。同じ部屋なら、内寸面積より少し大きくなります。

宿泊室の面積の例(寝室として使う和室・洋室。押入れ・床の間・クローゼットは含まない)

宿泊室50㎡の線で、安全措置と消防の扱いが変わる

宿泊室の面積は、家主居住型で次の判断に使われます。

家主居住型で、宿泊室の床面積が50㎡以下それ以外(50㎡超、または家主不在型)
安全措置のうち、非常用照明器具と防火の区画原則不要原則必要(防火の区画は、複数のグループが複数の宿泊室に泊まる場合)
消防法令上の扱い住宅として扱う旅館・ホテル等(消防法施行令 別表第1(5)項イ)として扱う。自動火災報知設備などが必要
出典:住宅宿泊事業法 第6条、国土交通省関係住宅宿泊事業法施行規則 第1条、住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン) 2-2.(2)の表1、消防庁「民泊における消防法令上の取扱い等」

避難経路の表示は、面積にかかわらず必要です。戸建て・長屋では、ほかの安全措置が求められる場合もあるため、施行要領の表1で確認します。

消防の扱いでいう宿泊室の床面積は、宿泊者の就寝に使う室の床面積の合計です。家主が居住しているかどうかは、戸建てでは棟ごと、共同住宅では住戸ごとに判断します。消防法令上の扱いは、事前に管轄の消防署に確認します。

家主居住型で宿泊室の合計が50㎡前後になる住宅は、どの部屋を宿泊室にするかで必要な設備が変わります。寝室を1つ宿泊に使わないだけで50㎡以下に収まることもあるため、設備の費用と、受け入れる人数の両方から検討します。

民泊・貸別荘で必要な消防の対応
家主居住型と家主不在型の違い

宿泊者の使用に供する部分(宿泊室を除く)の面積

宿泊者が使う部分のうち、宿泊室以外の面積です。家主と共用していても、宿泊者が使う部分なら含みます。

国・厚規則第1号様式に記載する「宿泊者の使用に供する部分(宿泊室を除く。)の面積」とは、宿泊者の占有か住宅宿泊事業者との共有かを問わず、宿泊者が使用する部分の面積であり、宿泊室の面積を除いた面積を表す(台所、浴室、便所、洗面所、押入れ、床の間、廊下を含む。)。なお、面積の算定方法は「宿泊室の面積」の場合と同様とする。

住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン) 2-1.(2)①

測り方は宿泊室の面積と同じ壁芯です。宿泊室の中の押入れや床の間は、宿泊室の面積には入りませんが、こちらの面積に入ります。

宿泊者の使用に供する部分(宿泊室を除く)の面積の例(LDK・水回り・廊下・玄関・押入れ・床の間・クローゼット)

家主不在型で住宅全体を宿泊者に使わせる場合、宿泊室の面積とこの面積の合計は、住宅全体の床面積とおおむね一致します。家主居住型では、家主だけが使う部屋が含まれないため、その分だけ合計が小さくなります。

計算例:家主不在型と家主居住型

同じ戸建て(1階にLDK・水回り・玄関、2階に寝室2室)を、家主不在型と家主居住型で届け出た場合を比べます。数字は説明のための仮の値です。

部屋壁芯面積内寸面積
寝室A13.0㎡12.0㎡
寝室B13.0㎡12.0㎡
LDK22.0㎡20.5㎡
浴室・洗面所・便所9.0㎡8.0㎡
玄関・廊下12.0㎡10.5㎡
押入れ・クローゼット3.0㎡2.5㎡
合計72.0㎡65.5㎡
例の住宅の面積(仮の値)

家主不在型(住宅全体を宿泊者が使う)

面積数え方結果
居室の面積(内寸)押入れ・クローゼット以外の全部(12.0+12.0+20.5+8.0+10.5)63.0㎡
宿泊室の面積(壁芯)寝室A・B(13.0+13.0)26.0㎡
宿泊者の使用に供する部分(壁芯)宿泊室以外の全部(22.0+9.0+12.0+3.0)46.0㎡

定員の上限は、63.0÷3.3=19.0…で19人です。ただし寝室は2室なので、実際の定員は寝具の数で決まり、上限よりかなり少なくなります。家主不在型なので、宿泊室の面積にかかわらず、非常用照明器具などの安全措置が必要で、消防法令上も旅館・ホテル等として扱われます。宿泊室と宿泊者の使用に供する部分の合計(72.0㎡)は、住宅全体の床面積と一致します。

家主居住型(家主が寝室Bに住み、LDK・水回り・廊下を共用する)

面積数え方結果
居室の面積(内寸)宿泊者が占有する寝室Aだけ12.0㎡
宿泊室の面積(壁芯)寝室A13.0㎡
宿泊者の使用に供する部分(壁芯)共用のLDK・水回り・玄関・廊下と、押入れ・クローゼット(22.0+9.0+12.0+3.0)46.0㎡

定員の上限は、12.0÷3.3=3.6…で3人です。家主居住型で宿泊室の面積が50㎡以下なので、非常用照明器具の設置や防火の区画は原則不要で、消防法令上も住宅として扱われます。家主だけが使う寝室B(13.0㎡)は、どの面積にも入りません。

同じ住宅でも、家主不在型と家主居住型とで、居室の面積と定員の上限が大きく変わることがわかります。押入れ・クローゼットの位置や、どこまでを共用にするかによっても数え方は変わるため、実際の届出では、間取りに合わせて届出先に確認します。

建築基準法の「居室」との違い

「居室」という言葉は、建築基準法にも出てきます。建築基準法の居室は、「居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室」をいいます(建築基準法 第2条第4号)。採光や換気などの基準は、この居室にかかります。

建築基準法では、浴室・便所・廊下・玄関は居室にあたりません。これに対して、住宅宿泊事業の届出でいう「居室の面積」は、宿泊者が占有しているかどうかで決まり、宿泊者が占有する浴室や便所、廊下も含みます。同じ「居室」でも範囲が違うので、建築の図面にある居室の面積をそのまま届出に使わないよう注意します。

実務でつまずきやすい点

改正前の説明のまま、居室の面積から水回りを外してしまう

2024年12月の施行要領の改正より前の資料では、居室の面積に台所や浴室を含めない説明が多く見られます。家主不在型で宿泊者が水回りまで占有する場合は、改正後の定義に沿って居室の面積に含めます。

内寸と壁芯を混ぜる

居室の面積は内寸、宿泊室と宿泊者の使用に供する部分は壁芯です。販売図面や登記の床面積をそのまま書き写すと、居室の面積が実際より大きくなります。居室の面積は、図面の寸法から壁の厚みを除いて計算するか、現地で測ります。

寝具の数で定員を決めて、1人3.3㎡を超えてしまう

ベッドや布団を多く置けても、居室の面積が足りなければその人数は受け入れられません。予約サイトに掲載する定員を決める前に、居室の面積から上限を計算しておきます。

家主居住型で、宿泊室が50㎡をわずかに超える

宿泊室の合計が50㎡を超えると、家主居住型でも安全措置や消防設備が必要になります。部屋の割り当てを決める段階で、宿泊室の合計面積を確認しておきます。

図面の色分けと届出書の数字が合わない

図面で示した部分と、届出書に書いた面積が一致しているかを提出前に確かめます。図面と面積の計算は、設計事務所に依頼する方法もあります。依頼する場合も、どの部屋を宿泊室にし、どこを家主と共用にするかは事業者が決めることなので、運営の形を先に固めてから伝えます。

よくある質問

押入れやクローゼットは、どの面積に入りますか?

居室の面積と宿泊室の面積には入らず、宿泊者が使うものであれば、宿泊者の使用に供する部分(宿泊室を除く)の面積に入ります。

定員は何人まで設定できますか?

居室の面積を3.3㎡で割った人数が上限です。そのうえで、寝具の数や、消防・自治体の条例の基準を満たす人数にします。

届け出た面積を間違えていたら、どうすればよいですか?

住宅の規模は届出事項の一つで、変更があったときは30日以内に届け出ることになっています(住宅宿泊事業法 第3条第4項、住宅宿泊事業法施行規則 第4条第3項第9号)。誤りに気づいたら、届出先に訂正の方法を確認してください。

まとめ

  • 住宅の規模は、居室・宿泊室・宿泊者の使用に供する部分(宿泊室を除く)の3つの面積で届け出る
  • 居室の面積は宿泊者が占有する部分を内寸で測る。2024年12月の改正で、宿泊者が占有する台所・浴室・便所・洗面所・廊下なども含むと明記された
  • 宿泊室の面積と、宿泊者の使用に供する部分の面積は壁芯で測る
  • 居室の面積は定員の上限(1人3.3㎡以上)に、宿泊室の面積は家主居住型の安全措置・消防の扱い(50㎡以下かどうか)に関わる
  • 家主不在型と家主居住型とで、同じ住宅でも数え方が変わる。届出先の記入例で確認してから図面を作る

参考資料

法令・制度の情報は2026年10月時点で確認したものです。