リゾート法(総合保養地域整備法)とはつまりなんなのか?

このページでわかること
・リゾート法の意義と概要
・リゾート法の現在の状況

先日不動産ポータルサイトで物件の備考情報を見ていたら「リゾート法」という見慣れない法律が出てきました。リゾート地について何かを定めている方法なのか?その字面からは何のための法律なのか想像もつきませんよね。

この法律がどんな法律なのか、物件の取得時に何か気をつけなければならないことがあるのか、調べてみました。

正式名称は「総合保養地域整備法」

リゾート法の正式な法律名は総合保養地域整備法といいます。

何かを規制するための法律ではなく、「開発を促進する法律」でしたが、わずか数年で事実上の打ち切りとなったそうです。そのため、現在は気にする必要はないようです。

何かを規制するためではなく、地方創生を目的に作られた法律

法律の趣旨は以下の3点です。

①地方にレジャー施設等の整備を促進させることで、地域振興を図ることを目的とした法律である。
②国の方針に従い、都道府県が地域振興を図るエリア(基本構想)を設定している。
③そのエリア内でレジャー施設等を設置する事業者は税や許認可などの優遇を受けれれるよう便宜が図られる。

要するに、民間企業を地方へ誘致し観光開発を行うことで、活性化を推進する制度を整えた法律ということですね。

都道府県が制定したエリア内でレジャー施設等を設置した事業者は優遇が受けられるようになるわけですが、この優遇が受けられる施設は、具体的に以下のように定められています。

・スポーツ又はレクリエーション施設
・教養文化施設
・休養施設
・集会施設
・宿泊施設
・交通施設
・販売施設
・熱供給施設、食品供給施設、汚水共同処理施設その他の滞在者の利便の増進に資する施設

こうした施設を創ろうとしている事業者にとっては、税金や許認可で優遇してくれるのであればぜひその土地で!となりますよね。

リゾート法を施行した結果

リゾート法が施行されると、ほとんどすべての道府県が基本構想の制定を行い、施行から約10年間の間に41道府県42地域で構想が承認されたそうです。

しかし、その構想の多くはスキー場やゴルフ場、マリーナといった地域の独自性皆無の画一的なもので、乱開発を懸念する声も上がっていました。

結局はうまくいかず破綻

さらに、この法律が作られたのはバブル真っ只中。勢いで地方創生をしようとした結果、施設整備は思うように進まず、バブルが崩壊し経営破綻に陥る施設も出たそうです。

加えて、ゴルフ場やリゾートマンションの建設等により自然環境が破壊されたとの声も上がっており、この法整備の政策に対しては難儀を示す意見も示されています。

全国41道府県で42の基本構想が制定されましたが、結局は基本構想を廃止する県が相次ぎ、現在では基本構想を策定しているのは、30地域(29道府県)となっています。まだ基本構想の残っている地域があるのもそれはそれで驚きですが、その地域についても税の優遇制度は廃止されており、現在では特段触れる機会のない法律となっているのが実態というところです。

参考:総合保養地域整備法(昭和62年法律第71号)/国土交通省

根拠法令

根拠法令:総合保養地域整備法

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