2024年最新!民泊・貸別荘の国内業界動向を統計情報を元に解説!

昨今のインバウンド需要の高まりもあり、注目を浴びている業態の一つである民泊や貸別荘。

インバウンドにスポットが当たりがちではあるものの、実は国内(日本人)においてもこうした形態の宿泊施設の需要は増加しています。

本ページでは2024年の統計データを元に、最新の業界動向を紹介していきたいと思います。

宿泊業全体の動向

まずは民泊や貸別荘を始めとする「宿泊業全体」の2024年の動向を見ていきましょう。

延べ宿泊者数

国内の延べ宿泊者数はいずれの月においても前年の同月を上回っており、年間合計では2024年は2023年の1割近く増加しました。

宿泊旅行統計調査より抜粋

1月、2月、6月など、一般的に宿泊業をはじめとする観光業界が閑散期に入るシーズンの増加率が特に大きいです。「人が賑わう混雑シーズン以外に出かけたい」「繁忙期を外してお得な時期に旅行したい」と考える人が増えているのかもしれません。

宿泊費単価

宿泊施設の宿泊費単価(1人が1泊にかける金額の平均)は前年を大きく上回り、2024年の年間平均は17,000円近くになり、2023年の1.2倍ほど(約3,100円増)となっています。

旅行観光消費動向調査より抜粋

これは「これまでよりも宿泊費にお金をかけよう」というよりは、インバウンド需要に伴う宿泊料金の値上げにより「これまでよりも宿泊費にお金をかけざるを得ない」のではないかと思います。

民泊や貸別荘の施設数は?

次に民泊・貸別荘の施設数を見ていきましょう。

民泊の施設数

住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく民泊届出件数は着実に増加しています。

民泊制度ポータルサイトより

簡易宿所の施設数

一方、旅館業法に基づく簡易宿所の施設数は減少傾向にあります。

宿泊旅行統計調査より抜粋

一般的に民泊新法による届出よりも旅館業の営業許可の取得の方がハードルが高いため、民泊として届け出る方が事業をスタートさせやすいことが要因として考えられます。

また、数年前に開業ラッシュとなっていた「グランピング場」は簡易宿所に分類されますが、ブームが落ち着いたことによるこうした施設の撤退なども考えられます。

民泊・貸別荘の稼働率は?

次に民泊と貸別荘の稼働率についても見ていきましょう。

民泊の稼働日数

民泊の稼働日数(1施設が2ヶ月間で稼働した日数の平均)は各月とも増加しており、年間合計で7日増となっています。

民泊ポータルサイトより抜粋

民泊の施設総数が増加している上に1施設当たりの稼働数も上回っているということは、民泊の需要が増加していると言って間違いないでしょう。

簡易宿所の稼働率

貸別荘の業態も含まれる簡易宿所の稼働率は各月とも増加しており、年間合計で言うと2024年は2023年の約117%増となり、平均稼働率は30%近くとなりました。

宿泊旅行統計調査より抜粋

最初に紹介した延べ宿泊者数と同じく1月・2月の増加率が高かったのに加え、10月の稼働率の増加が顕著です。これにはインバウンドによる需要増の影響が関係していると考えられます。中国や韓国といった東アジア圏は10月に連休があるためです。

民泊・貸別荘の単価は?

最後に、民泊・貸別荘の宿泊単価を見ておきましょう。

民泊の宿泊単価

民泊の宿泊単価(民泊施設に泊まった人が1人当たり1泊にかけた宿泊料金の平均)は、時期によってばらつきが大きいものの、年間平均で前年の約1.4倍、金額にして約3,700円ほど上がっており、最初に紹介した宿泊施設全タイプに比べ大きいことがわかります。

旅行観光消費動向調査より抜粋

民泊施設という業態の高価格化が進んでいると考えられます。

貸別荘の宿泊単価

貸別荘をはじめとするペンション・民宿・貸別荘の宿泊単価は、こちらも民泊同様時期によるばらつきは大きいものの、年間平均で約1.16倍、金額にして約2,000円ほど上がっています。

旅行観光消費動向調査より抜粋

元々他の業態に比べ価格帯は高かったものの、こちらも例に漏れず単価が上がっています。

2025年はどうなる?

ということで、各種統計データを見ながら2024年の前年との変化を見てきました。

ポイントとしては以下が挙げられるかと思います。

①宿泊者需要の増加
②民泊・貸別荘の稼働率の上昇
③民泊施設数の増加
④単価上昇

2025年もこの4点の傾向は変わらないと考えられます。

民泊や貸別荘の運営者にとっては、競合宿泊施設の新規参入は懸念するところではありますが、それを上回る宿泊需要の増加が見込まれると考えられます。それに伴い宿泊料金の市場価格もやはり上昇していくと考えられますから、適切な価格調整を行うことで機会損失を減らすとともに利益の最大化を狙っていきたいところです。

参考データ:
民泊制度ポータルサイト
宿泊旅行統計調査
旅行・観光消費動向調査

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