企業やビジネスの広報活動・コミュニケーションツールとして、いまや欠かせない存在であるSNS。
今後も増加が見込まれるインバウンド顧客の獲得においても、SNSを利用したマーケティング活動を行っている方は多いと思います。
しかし、一口に「インバウンド」と言っても、当然その中には様々な国籍の方がいますよね。また、使用言語も色々です。自分の使用しているSNSツールや日々投稿している内容が、適切にターゲットへ届けられているのか、いまいち把握できていない中とりあえず運用している、という方も多いのではないでしょうか。
そこで、国別に人気のSNSを調べ、一覧でわかるようにまとめました。直近1年間の訪日外国人数や、使用されている言語・英語が通じるかといった事項についても一緒に記載しているので、日々のインバウンドマーケティングの施策検討・ブラッシュアップや、今後新たに運用するSNSツールの選定にも活用していただけますと幸いです。
世界各国のSNS人気・利用度一覧
アプリオンという海外のアプリランキングがわかるサイトを参考にさせていただき、独自に今回の表を作成しています。
色が濃いほどその国で人気・利用されているSNSという表です。訪日外客数は2023年12月~2024年11月の1年間のものを記載しています。
SNS種別に縦に見ていくと、世界全体でそのSNSがどれだけ影響力を持つかがわかるようにしています。SNSマーケティングの観点で行くと、Youtube=Instagram>Facebook>TikTok>Xという序列になるかと思います。それぞれのアプリの概要や特徴、運用のポイントは後にまとめています。
各国の公用語は?
投稿をする際の文章やハッシュタグをつける際など、何語をつけたらターゲットの国に届けられるか悩む場面もあるかと思います。
各国の公用語と、英語が通じるかどうかを世界の英語力ランキングを参考にまとめましたので、こちらは投稿作成時のなど参考にしていただればと思います。
国 | 公用語 | 英語 |
---|---|---|
日本 | 日本語 | × |
韓国 | 韓国語 | △ |
中国 | 中国語 | × |
台湾 | 中国語 | △ |
香港 | 中国語 | △ |
シンガポール | 英語ほか | ◎ |
インドネシア | インドネシア語 | × |
インド | ヒンディー語 | × |
イギリス | 英語 | ◎ |
ドイツ | ドイツ語 | 〇 |
フランス | フランス語 | △ |
イタリア | イタリア語 | △ |
スペイン | スペイン語 | △ |
ロシア | ロシア語 | △ |
米国 | 英語 | ◎ |
カナダ | 英語 | ◎ |
オーストラリア | 英語 | ◎ |
各アプリの概要と特徴
LINE
LINEは日本では最も利用されている必須メッセージングツールですが、実は世界的に見るとLINEが普及している国はそう多くはありません。主な利用国は、日本のほか台湾やタイとなっており、欧米諸国を始めアジア圏でもLINEは使われていません。
日本国内ではLINE公式アカウントを利用したマーケティングも盛んに行われていますが、世界的な認知度・利用率はとても低いのが実情です。
Youtube
YoutubeはGoogleが運営する動画プラットフォームで、日本でも視聴している人は多いですが、世界各国でも人気度は非常に高いです。Youtubeを利用して海外向けに自社商品やサービスの宣伝活動を行う企業や施設も多く見られます。
文章や画像だけではイメージの掴みにくい情報収集を、SNSやブログではなくYoutubeで行う人はとても多いです。特に旅行する際の観光スポットや飲食店のリサーチには、国籍問わず多くの方がYoutubeを積極的に活用しているでしょうから、インバウンド向けの情報発信を行うことで、ターゲット層へのアプローチを狙いやすいと考えられます。
一方で、個人・企業問わず簡単に動画投稿が可能なため、毎日大量の動画がアップロードされています。その中でもより多くの人に少しでも長い時間視聴してもらうためのアイデアや工夫が必要で、他のSNSに比べ運用リソースが必要になります。
X(旧Twitter)
短い文章投稿がメインのSNSで、日本ではInstagramと双璧をなすSNSツールですが、世界的に見るとInstagramよりも人気度は劣る傾向にあるようです。しかし、一定の利用層が定着・確立しているとも言えますので、Instagramとの使い分けをすることでそれぞれ異なった利用層へのアプローチが可能になります。
Instagramに比べると最新の投稿が追いやすい・短スパンのトレンドを汲んだ発信に強い・拡散性が高いというのがXの強みだと言えます。Xを使用していると海外でバズっている投稿が流れてくるのを目にしたことがある人も多いでしょう。
とはいえ、Xにタイムライン表示されるおすすめ投稿やトレンドランキングは現在地の国の情報を基に表示されるようになっています。投稿をターゲット層の国に届けるにはよっぽどのおおバズリをさせる必要などがありますから、難易度は高いと言えます。
画像に文章とハッシュタグをつけて投稿するSNSです。Xに対しこちらは写真中心の投稿になりますから、海外との言語障壁が低くなり、いわゆる「インスタ映え」な投稿に情報をわかりやすく詰め込むことで、外国人の人にも興味を持ってもらいやすいでしょう。
ハッシュタグで海外の言語を積極的につけた投稿を行うのが運用の基本になると思います。だからといってやたらとハッシュタグを付けすぎると投稿できませんので要注意です(ハッシュタグは30個まで)。
日本ではだいぶ下火感のあるFacebookですが、世界的に見るとInstagramと同程度か、国によってはInstagramよりも人気のSNSとなっています。
日本や韓国など東アジア圏ではInstagramの方が人気、東南アジアではFasebookの方が人気といった印象です。欧米諸国ではInstagramと同程度の人気度で、いずれにしてもインバウンドマーケティングには欠かせないツールと言えます。
なお、FasebookのビジネスアカウントはFacebookページといいますが、Facebookページの開設には実名登録の個人用アカウントが必要になります。
TikTok
近年最も勢いのあるショート動画投稿プラットフォームのTikTok。コンパクトな動画にギュッと詰め込んだ情報を発信することで、いわゆる「タイパ(タイムパフォーマンス:時間に対する効果や満足感が高いこと)」を意識する若い世代のハートを掴みやすいでしょう。
TikTokアプリにはデフォルトで自動翻訳機能が備わっており、ユーザーが使用している言語へ自動翻訳表示されるため、投稿する側にとってもひと手間省ける仕様になっています。
TwitterやInstagramがアカウントのフォロワー数や投稿のいいね数などがおすすめ表示される仕組みであるのに対し、TikTokはフォロワー数に関係なく「視聴数」を稼ぎやすいアルゴリズムと言われており、SNS運用に精通していない事業者や広告費にコストを割けない小規模施設でも「ワンチャン」狙いやすいツールと言えるのではないでしょうか。
一方で、ほとんどの動画は最初の数秒、下手したら1秒未満で次の動画へスワイプされてしまいます。いかに第一印象で興味を持ってもらえるか創意工夫が必要で、Youtube同様に運用リソースがかかります。
Threads
ThreadsはInstagramを提供するMeta社より2023年よりサービスが開始されたSNSで、写真中心のInstagramと違い、テキスト中心であることが特徴です。当初はXの代替SNSとして注目を浴びていましたが、世界各国共通してXほど利用者は伸びていないのが現状のようです。
Threadsを利用するためにはInstagramのアカウントが必要となっており、Instagramのアカウントに連携する形で運用していくことになります。インバウンドマーケティングとしての効果は未知数ですが、Instagramに投稿したものをThreadsへ連動して投稿することが可能なので、とりあえず連携させて様子見で運用していく、というスタイルでビジネス活用している事業者が多いようです。
世界で最も利用者の多い、Meta社の提供するメッセージングツールです。日本でいうLINEが海外ではWhatsappというとわかりやすいでしょう。
LINEと同じくビジネスアカウントの開設も可能ですが、主な用途は海外顧客との直接やりとりになると思います。よって、いわゆる「SNSマーケティング」で潜在顧客へのアプローチを図っていくというよりは、顕在顧客へのアクションに向いたツールと言えるでしょう。
Messenger
世界ではWhatsappに次いでポピュラーなメッセージングツールです。Whatsappと同じくMeta社が提供しています。
Whatsappとの違いは、MessengerはFacebookと連携が可能な点にあります。こちらもWhatsappと同じく、顕在顧客のアクション向けのツールです。
Reddit(レディット)はアメリカのソーシャルメディアプラットフォームで、掲示板とSNSの融合版のようなイメージです。
XやInstagramなどのSNSとは使用感が全く異なり、テーマを持ったsubredditというスレッドが立てられ、掲示板形式で投稿したりコミュニケーションを取ったり、というのが使い方の軸になっています。日本人にとっては少し馴染みづらい操作感なので、インバウンドマーケティングとして活用するにもまずこの独特な使い方に慣れていくところからスタートになると思います。
Pinterestは写真や動画の「検索」がメインになるSNSで、日本ではそこまで普及していませんが、欧米を中心に人気のツールです。
気に入った画像などを「ピン」としてコレクションしていくと、そこから自分の趣味嗜好が分析され、好みに近い画像が表示されるようになっており、ユーザーの多くはアイデア収集やデザインの参考として活用しています。
Pinterestでは無料で簡単にビジネスアカウントに切り替えることができます。自社のサービスや商品を洗練された画像として投稿をして多くのユーザーからの「ピン」を獲得することで、認知度を高めるという活用方法になります。広告出稿も可能となっています。
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