土壌汚染対策法ってどんな法律?規制している内容は?

このページでわかること
・土壌汚染対策法の概要
・土壌汚染対策法で規制していること

不動産を探していると時折見つける法律である「土壌汚染対策法」。

字面からなんとなく土壌の汚染を対策する法律であろうことは推測できますが、実際にどのような規制がかかってくるのか、物件を取得した後の影響などがいまいち想像できません。

そこで、本記事では土壌汚染対策法についてまとめました。

土壌汚染対策法の趣旨

土壌汚染対策法は、「国民の健康の保護」を趣旨としています。

第一条 この法律は、土壌の特定有害物質による汚染の状況の把握に関する措置及びその汚染による人の健康に係る被害の防止に関する措置を定めること等により、土壌汚染対策の実施を図り、もって国民の健康を保護することを目的とする。

土壌汚染対策法 第一条

つまり、土壌の汚染の状況を把握し、それに対して適切に対処することで、土壌汚染物質による国民の身体への被害を防いでいこう、というわけですね。

土壌汚染対策法の制定の背景

参考:土壌汚染対策法のしくみ

そんな土壌汚染対策法ですが、この法律が成立したのは平成14年です。土壌が汚染される原因として、工場の操業に伴い原料に用いる有害物質そのものや廃液等の不適切な処理が挙げられます。近年の工場跡地の再開発等によってこうした土壌汚染の問題が顕在化しました。

土壌に有害物質が含まれ汚染されているからといって、それが直ちに人体に影響が及ぶわけではありません。こうした土壌の地下水を摂取するとか、こうした土壌で育てられた農作物を食べるとか、あるいは土壌に直接触れてしまうことで人体の健康に被害を与えることになります。

土壌汚染には上記のような人間の活動のみならず、自然由来のものも存在します。世の中の土壌汚染への関心が高まったこともあり、土壌汚染の状況を適切に把握したり、その土壌の適切な処理といった課題の解決が、この「土壌汚染対策法」のメインテーマとなっています。

どのように土壌汚染を解決していくのか

では、この法律に基づき具体的にどうやって土壌汚染問題を解決していくのかという話になります。土壌汚染を日本の土地からすべて取り除くことなど夢のまた夢の話で到底現実的ではありません。そもそも土壌がどれくらい汚染されているかもよくわかっていないのです。そこで、まずこの土壌汚染の現状を把握するためのきっかけとして、下記の場合には土壌汚染の調査が義務付けられています。

①有害物質使用特定施設の使用を廃止したとき
②一定規模以上の土地の形質の変更の届出の際に、土壌汚染のおそれがあると都道府県知事が認めるとき
③土壌汚染により健康被害が生ずるおそれがあると都道府県知事等が認めるとき

この場合に関しては、土地の所有者等が指定調査機関に調査を行わせ、結果を都道府県知事等に報告しなければなりません。

では一体どのような調査が必要になるのでしょうか。これには人体に有害を与える物質として、土壌汚染対策法で「特定有害物質」という形でその物質が指定されています。

●第1種特定有害物質
クロロエチレン(塩化ビニルモノマー)、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、1,1-ジクロロエチレン、1,2-ジクロロエチレン、1,3-ジクロロプロペン、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、トリクロロエチレン、ベンゼン

●第2種特定有害物質
カドミウム及びその化合物、六価クロム化合物、シアン化合物、水銀及びその化合物、セレン及びその化合物、鉛及びその化合物、砒素及びその化合物、ふっ素及びその化合物、ほう素及びその化合物

●第3種特定有害物質
シマジン、チオベンカルブ、チウラム、ポリ塩化ビフェニル(PCB)、有機りん化合物

それぞれの物質に対して基準値が設けられており、それを上回った場合は要措置区域として汚染の除去が必要となります。また、要素地区域は土地の区画形質の変更が原則禁止となります。

根拠法令

根拠法令:土壌汚染対策法

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