【2023年】貸別荘・一棟貸しの平均稼働率は?関東周辺の都道府県で稼働率の高い県はどこ?

このページでわかること
・宿泊業界における「稼働率」とは?
・簡易宿所(貸別荘など)の2023年の稼働率実績値(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨、静岡、長野)

貸別荘の開業計画を立てる際、開業後の収支を計る目安として「稼働率」は重要な指標となります。稼働率は簡単にいうと、年間の最大宿泊可能数に対してどれくらい宿泊されたかの割合で、宿泊業界においては売上に直結するため、開業後も常に管理すべき数値です。

計画段階においては、貸別荘の平均稼働率はどれくらいかを把握しておくことで、自分の目標とする売上に対して現実的に可能な収益はいくらかなどを試算しやすくなります。

そこで、2023年の貸別荘を始めとした宿泊業界全体の平均稼働率をまとめています。また、関東周辺の各都道府県の稼働率を比較することで、これから開業候補地を決めていく際の参考にもなればと思います。

宿泊業界における重要指標「稼動率」とは?

宿泊業界においては営業実績を示す指標として「稼働率」が用いられます。稼動率には「客室稼働率」と「定員稼働率」の2種類があり、それぞれ意味合いが異なります。

客室稼働率

一定期間における、総客室数に対する利用客室数の割合

例えば、2名定員の部屋を10室有するホテルのある日の宿泊室数が5室の場合、客室稼働率は【5÷10=0.5】で50%となります。

定員稼働率

一定期間における、総収容人数に対する延べ宿泊人数の割合

例えば、2名定員の部屋を10室有するホテルのある日の宿泊室数が5室・利用客数が8名の場合、定員稼働率は【8÷20=0.4】で40%となります。

どちらの指標を使う?

客室稼働率・定員稼働率のどちらを利用したほうがより営業成績を把握できるかは、宿泊施設の営業形態によります。

例えば上記のように定員人数が複数名の部屋を主に有するホテルで、料金形態も人数課金制(1室あたりでなく1名あたりの料金)の場合、定員稼働率の指標の方がより売上に近い数値になります。一方、一棟貸しのコテージなどで何名宿泊しても同一料金といった料金形態を採用している場合、客室稼働率の方が売上を把握しやすい数値になります。

また、性質上一般的には客室稼働率よりも定員稼働率の方が低い値となります。

貸別荘の場合は?

貸別荘においても人数課金制を用いるか、棟貸し料金とするかは施設によって異なるところです。目指す売上やターゲット層によってどちらを採用した方がよいかも変わってくるでしょう。

もし1泊いくら、という料金形態での営業を考えているのであれば客室稼働率の方が参考になります。一方、1名あたりいくら、という料金形態にしようと思っている場合は定員稼働率の値の方が参考にしやすいです。

本記事の参考データとなる宿泊旅行統計調査では、どちらの稼働率も公開されているので、本記事でもそれぞれの稼働率を見ていきたいと思います。

客室稼働率(2023年年間値)

それでは早速客室稼働率から見ていきましょう。

2023年の客室稼働率(抜粋)

貸別荘はこの宿泊施設タイプのうち、「簡易宿所」に該当します。

しかし、簡易宿所には旅館・ホテル以外の宿泊施設業態の大半が含まれているので、貸別荘や一棟貸しの実測値とは異なる場合があることに注意が必要です。

下記では、貸別荘や一棟貸しの営業形態に近い民泊の稼働率もまとめていますので、参考にしてみてください。

関東周辺で全国平均を超えるのは東京だけ

まず、簡易宿所の稼働率の全国平均は25%ですが、関東周辺の都道府県においてこの全国平均値を超えているのは東京のみでした。

神奈川、千葉など東京近接県は25%に若干届かない程度と全国平均並みの稼働率です。

そのほかの件は15%程度~20%程度の稼働率ですが、那須などの人気別荘地を有する栃木でもその稼働率は10%程度と全国水準でもかなり低い値になっています。

定員稼働率

続いて定員稼働率を見ていきます。

簡易宿所の定員稼働率の全国平均は15.1%です。

大まかな傾向は客室稼働率と変わらない

各都道府県の全体的な傾向としては客室稼働率とそこまで変わらず、関東周辺で全国平均を大きく上回る稼働率なのは東京のみです。

特徴的なのは神奈川です。客室稼働率で全国平均並みであった神奈川は、全国平均を上回った値となっています。

神奈川は他の都道府県に比べてグループ旅行や大人数の宿泊が期待できるといえるでしょう。こうした地域では1泊いくら、という料金形態にするよりも1人当たりいくら、という料金形態にした方が効率的に収益をあげられる可能性があります。

まずは目標は30%とするのがいい

以上、稼働率の平均値や地域ごとの傾向を見てきました。

一般的に客室稼働率では年間を通じて20%~40%で推移することが多いと言われる貸別荘業界。全国平均値からもわかるように、まずは稼働率30%が一つの目標地点がなるでしょう。

参考データ

参考データ:2023年(令和5年)年間値(速報値)集計結果/宿泊旅行統計調査(観光庁)

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