
このページでは、マンションの一室を購入して民泊を始められるのか?について、主に許可取得の面からその可否を解説しています。
「マンションの空いた一室で民泊を始めたい」「ワンルームやファミリータイプでも民泊にできるの?」「旅館業と民泊新法(住宅宿泊事業)、どちらなら可能?」といったご相談は多いのですが、結論から言うと、マンションでの民泊は管理規約で禁止されているケースがほとんどであり、できない場合が多いというのが実態です。
マンションの民泊可否の判断ポイントを中心に見ていきましょう。
マンションの一室で民泊はできる?3つのチェックポイント
まず前提として、民泊を行うためには旅館業(簡易宿所)許可もしくは住宅宿泊事業の届出が必要で、どちらにするかによってポイントは異なりますが、マンションの一室で民泊ができるかどうかは、以下の3点をまず確認します。
①マンションの用途
マンションは基本的に「共同住宅(住宅用途)」で建築確認を受けています。建物の用途と許可の関係は簡単に言うと、
- 住宅宿泊事業(民泊新法) → 住宅用途のままでOK
- 旅館業(簡易宿所) → 旅館用途に変更が必要
ですが、旅館業への用途変更は建築基準法や都市計画法などの不動産の法規制が絡むため至難です。
②管理規約で禁止されていないこと
冒頭でお伝えした通り、マンションは共同住宅であり、住民同士のトラブルを防ぐために生活空間の使用ルールについて管理規約が定められます。
この管理規約では、不特定多数の出入り禁止や事務所利用禁止など、要するに基本的な住居利用の範囲内に制限する文言が記載されていることが一般的であり、民泊については以下の記載がなされていることが多いようです。
~民泊禁止文言の例~
・専有部分を宿泊業(旅館業・住宅宿泊事業)に使用してはならない。
・専有部分の短期賃貸は禁止する。
・反復継続して短期賃貸を行う行為を禁止する。
住宅宿泊事業(民泊新法)も短期宿泊にあたるため、実質的に「すべての民泊行為が禁止」という意味になります。
マンションなどの共同住宅で住宅宿泊事業を行う場合、届出時に管理規約を添付しなければなりません。つまり管理規約で明文で民泊禁止の文言がある場合、その時点で民泊利用は不可となります。
物件を仲介する不動産屋に依頼すれば管理規約は見せてもらえますので、気になる場合は不動産屋に聞いてみましょう。
③消防設備の整備が可能か
住宅宿泊事業で民泊を営業する場合であっても、運営方法や面積によって消防法上は旅館業と同じ取り扱いになるケースが多いため、消防設備の設置などの対応が必要になります。
構造によって対応内容は異なりますが、要求される設備の新設が難しい場合もあり、消防法上の要件を満たせない場合もあります。

民泊可能のマンションであればメリットもある
もちろん、条件を満たすマンションであれば次のようなメリットもあるでしょう。
- 戸建て物件に比べると取得費用が安い
- 立地上、一定の利便性が担保されるので、清掃やリネンのオペレーションも組みやすい
- 高稼働率が期待できる
ただし、戸建て民泊以上に騒音の配慮が必要になることやゴミ出し方法の調整など、共同住宅ならではの困難もあります。
また、現実には民泊可能な分譲マンションは希少であり、中古物件として市場に出てもすぐ売れます。
まとめ:マンション民泊はできる場合もあるが条件は厳しい
以下に該当すると、ほぼ100%不可です。
- 管理規約で「宿泊業禁止」「短期賃貸禁止」と明記
- 規約上は明記されてなくても、管理組合の総会で反対が多い
- 消防設備の追加ができない
特にマンションは区分所有者の共同生活であることが前提です。投資目的であっても後々のトラブルを避けるため、事前の慎重な検討が必須となるでしょう。

KC行政書士事務所では、民泊や旅館業の許認可申請代行を行っております。お気軽にお問い合わせください。


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